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第60話 早く。※

 明るい。電気。  ついさっきまで、一緒にご飯食べてたリビングのソファ。  大きな窓からは外が見える。近くに高い建物が無いから、遠くまで夜景。 「……っあ……んん、ン……!」  組み敷かれて、中、颯ので擦られて、気付いたら抱えてたクッションに、ぎゅうっとしがみつく。  全裸じゃなくて、なんか、服、するのに必要なとこだけしか、脱いでない。  オレは下は脱がされたけど、シャツは、めくられて、乱されたまま。  颯は、上からいくつかボタン外してるけど、下は、脱いではいない。ほとんど着衣のままって感じ。 「……ぅ、んんっ……ぁ……!」  なんか。  ベッドでするより、やらしい感じがして。  だって、なんか、颯ってば、外に居る時のまんまで。  なんか、今まで外で見てた、カッコいい颯のまんまで、今オレを抱いてる感じがして。 「……っっん、ん」  きゅう、と奥の方が締め付けられて、涙が溢れる。 「慧……」  は、と息を荒げて、オレの抱きかかえてるクッションに触れる。 「何でこれ抱いてンの」  クス、と笑いながら、オレに顔を寄せて、唇を重ねてくる。 「……ふっ……ぅ、ん」  舌を絡められて、握り締めてたクッションから手を外されて、奪われて下に落とされてしまった。心もとない。なんか。縋りついてたのに。  こんな明るいとこで、全部見せるの、やだ。  うう、と滲んでくる、良く分からない涙に、きゅ、と眉を寄せると。 「……慧?」  クスクス笑いながら、オレの頬に颯の手が触れる。 「泣いてる」  目元というか、まぶたというか、とにかくキスされて、涙を舐めとられて。めちゃくちゃ恥ずかしくて、じっと見上げていると、ん? と見つめ返される。 「……涙、しょっぱい?」  息をひそめて、そう聞くと、ふ、と目を細めて、笑う。 「ん」  颯がそのままキスして、舌をオレの口に入れてくる。 「味、分かる?」 「……んん」  プルプル首を振ると、低く喉の奥笑った気がして。  颯を見上げようとした瞬間、深く、突き上げられた。 「……っん、ぁ……っ」  ぎゅっと目を閉じると、真っ白になる。  颯に抱かれてる時、たまになる。  気持ちいい以外なにも考えられなくなって、息もちゃんとできない。  耳元で、「慧」と囁かれる。ゾクッとしたものが全身駆け抜けるみたいで。 「……っ」  今まで、当然だけど、中で感じたことなんかなくて。考えたこともなかったけど。今はもう、分かる。  中だけで、気持ちよくなっちゃうこと。  きゅ、と颯のを締め付けると、余計に気持ちいい。  「……あ。ん、ン……っ」 「慧……」  颯の服をぎゅぅ、と握りしめてると。クスッと笑った颯にキスされる。 「クッションじゃなくて、オレに抱き付いてろよ」 「……っ」  服から手を離して、颯の脇から手を入れて、その背中に抱き付く。 「――なあ、オレさ」 「……ん……?」 「お前の、声、好き」 「……?」 「声だけでイけそう」 「……っは、はず……っ」 「あと。気持ちイイの我慢してる顔も、素直に気持ち良さそうな顔も好き」 「……っっ」 「オレに捕まってる手だけでも、なんか可愛い。慧、全部可愛い気がする」  ちゅ、と頬にキスされる。  なんなんだ、この。  甘々な、意味わかんない、このセリフたち……。 「…………っさい」 「え?」  聞き返されて、オレは颯を睨みつけた。 「るさい……! もうハズイからっ……早く、シろよっ……っっ」    言ったオレに、颯はすぐクッと笑い出して。   「ほんと、かわい」  クスクス笑って、オレを抱き締めて。  本気で抱かれると、もうオレは、お手上げ。  声も何も我慢できないし、  とにかくぎゅうっと颯にしがみついた。

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