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第69話 Ω会議(?) 5
「あ。そういえばさ、Ωはもう番になったら、浮気とかはできない? 体質的にできないって聞いた。……したい訳じゃないけど、そうなんだーと思って」
「あ、それはね、他のαとはできないってだけよ」
「ん?」
「他のαの匂いを受け付けなくなるけど……例えば、相手がβとかなら、出来るよ」
「あ、そうなんだ」
あ、それも初耳。
わー、Ω、奥が深いー。
オレ、知らないこといっぱいあるな。大体あんまりこういう話題とか気にしてなかったから、誰かが話してても聞いてないし。聞いとけばよかったな。
「なんか色々知った方がいいかもねー、オレ」
ふむふむと、頷いていると、奈美がオレをじっと見つめた。
「なんか慧くんは、全然悲観的にならないんだね」
「悲観的?」
「んー。なんかさ、αだったのにΩになっちゃった、とかさ。普通のαの人なんて、なかなか再起するの大変そうなのに。Ωについて詳しく知りたいとか、今の慧くんみたいになるの、普通ならもっと先な気がするよ~」
奈美の、すごいねえ、という視線と、笑顔。
「……ん。でもそれ、別にオレがすごいんじゃなくて」
言おうかな。さっきから、皆、そこ気にしてくれてる。
……たぶん今思ってるこれを言うと、心配はされなくなるのは、分かってるけど。よし、恥ずかしいからなるべく、さらさらって言おう。
「変性の時に颯が一緒に居てくれて、これからずっと居るって言ってくれて番になってさ。翌日には病院で運命って認定されて、もうそこで親達と結婚の話してたから、悲観してる暇が無かった……て感じなんだ、けど……」
言ってる途中から、皆、目を大きくしてオレを見てくる。
うう。言いかけて止まるのもあれだし、最後まで……とは思ったけど。
言い終えた瞬間。
きゃーとかひゃーとか。拍手までされる。
「なになにそれ、これからもずっと居るって、颯くんが言ってくれたの? 変性してすぐにー?」
紗良がめちゃくちゃ盛り上がっている。
「カッコいいんだけどー! しかも翌日結婚の話ー? 早いなーとは思ってたけど、びっくりー!」
「そりゃ悲観してる暇ないよな、すっげー運命って感じ。なるほどなー。ああ、それで、めちゃくちゃ惚れちゃって、フェロモン飛ばしちゃうってことか」
「ち、ちが」
「きゃー、そうだよねぇ、分かる、慧くん!」
「抑える必要ないじゃん、もういっぱいとばしちゃえー」
オレの言葉はもはや届かず。
「かんぱーい!」
何で途中でまた乾杯……と思いながら、何やら超盛り上がってしまった皆から、超質問責めにあうのだった……。
ちょっとこの件、言い方、もうちょっと考えて喋ろうと、誓いながら。
なんか最近変な誓い、多いなオレ。
(2023/11/05)
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