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第71話 Ω会議(?) 7

『もしもし。慧?』  んー。良い声だなあ。  なんだろうなー。なんか、独特。低くて、でもよく通る。優しい響きの声。  ……前までは、なんか、皮肉っぽい小ばかにした感じって思ってたのに、好きってなると、えらい違いだ。自分でもちょっと可笑しくなるほど、感じ方、変わった気がする。 「颯、オレ、これから帰るね。遅くなっちゃった、ごめんね」 『時間は良いけど、帰り一人?』 「うん。皆はお泊り会だって」 『慧は行かなくていいのか?』  一瞬、行ってもいいの?と思ったけど。  ……颯のとこに、帰りたいのは、オレかも。 「帰るから」 『なら、迎えに行く。どこ?』 「え、いいの?」 『いいのって?』 「めんどくない?」  オレが聞くと、颯は少し黙って、クスクス笑い出した。 『面倒だったら言ってないし。迎え行くの、オレの役目だろ』 「――――……」  キュン病がまたも発病。  店の場所を話すと、すぐ行く、と颯。 「ありがと」  と言って、電話を切ると、三人が、ふふ、と笑ってる。 「来てくれるって?」 「うん」 「愛されてるね~、慧くん」  そうなのかなと、首を傾げていると。 「でも良かった、今日話せて」 「ほんとー」  紗良と奈美が言うので、「良かった?」と聞くと、啓太がオレを見て、ふ、と苦笑い。 「なんかさあまりにスピード婚だし、変性だし。しかも相手が相手だしさ。実はちょっと心配してたんだけど……なんかもう、今日話したら、全然平気そうで安心した」  啓太が笑う。 「ぇ、心配してたの?」  聞くと、頷いてる啓太と一緒に、うんうん頷いてる奈美と紗良も見える。 「今日も、急な誘いだったし、Ωについても聞きたいしとか慧が言うからさ。なんか悩んでたりするのかなーとか皆で、ドキドキはしてた」  はは、と笑う啓太に、そうだったんだ……としみじみ。 「なんか、心配してくれてありがと」 「ああ、でももう心配してないよ」 「ん、そっか」  良かった。 「ほっとしたし、最後に、アイス食べよっか」 「何それ、紗良」 「てか、オレも食べたいーチョコがいいなー」  皆で最後にアイスを頼む。「もう帰るので早めで」と啓太が頼むと、ほんとにすぐ、アイスが運ばれてきた。 「颯くんどれくらいで来そう?」 「歩いて十五分くらいかな。でも準備したり、色々あるだろうから」 「じゃあまだまだ来ないね」 「うん、多分」  奈美と紗良に応えながら、アイスをぱく、と口に入れる。 「とか言って、超急いでて、もう来ちゃってた、り――――……」  ふざけて言ってた啓太が、途中で変な感じになって固まるので、ん? と啓太に目を向ける。それから啓太の視線の先を追うと。 「あれ? 颯……?」  居酒屋の通路、座ってるテーブル客の視線をやたら集めながら、現れた颯にびっくり。  三人も、めちゃくちゃ早く現れた颯に、ただぽけっと、見上げてる。 「……あれ? 颯、ワープしてきた??」 「なんだそれ」  クッと笑う颯。

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