75 / 214

第75話 好きすぎて ※

 マンションに帰って、そのまま一緒にバスルーム。  お風呂の中は、いつも通り。  何もされなくて。 「少し酔ってるからのぼせそうだから」とか言ってバスタブにお湯はためず。お互い自分で洗って、今日は、さくさくとシャワータイムが終わった。ざっとバスタオルで拭いた後。 「今日はこっち」  と、バスローブを着させられて、髪の毛をタオルで拭かれたら、そのままキッチン。水のペットボトルを持って、そのまま寝室に連れて来られた。 「水ちゃんと飲んで?」 「うん」  寝室の電気はつけず、ルームライトの小さな明かりだけ。  ドキドキしながら水を飲む。  蓋を閉めると、颯に抱き寄せられて、見上げると、唇が触れてくる。  優しく。 「――――……」  ちゅ、と音を立てて触れて、そっと舌がオレの唇に触れる。  ぞく。と、背筋に快感。たった、これだけで。 「……ん」  重なって、舌がオレの舌に少しだけ触れて、そのまままた、少し離される。 「ん、ン」  いつもみたいに。キス。してほしいのに。何で離れるの。  自然と眉が寄って、瞳を開けると。ふ、と颯が笑う気配。 「――――……」  後頭部を押さえられて、ぐい、と引き寄せられて、深いキス。 「……んん、ぅ……」  颯のキス。好き。  他の人としてないから、分かんないけど。  颯のキスの仕方が、すごく気持ちよくて。  オレの中、全部、颯になるというか。  颯とキスしてるってことしか、何もわからなくなるっていうか。  多分颯だから、こうなるんだと思う。 「はや、……ふ……っ」  息継ぎの合間に名を呼ぼうとした唇は、また深く塞がれた。 「んん……っ……っぁ」  颯の手が、バスローブの合わせ目から胸に入ってくる。  手、熱い。  手の平で触れられるだけで、体が、熱くなる。 「……っぅ……んん……」  乳首、弄られて、ぴく、と震える。  キスは激しいまま、胸、弄られてると――――……腹の奥が、熱くなる。  これは。Ωになってから、初めて感じた、衝動。  中に。  入ってほしい、ていう。 「……ん、ぅ、……っあ」  そのまま、ベッドに組み敷かれて、颯の重みを感じると。  ――――……もうなんか。好きすぎて……。 「キス、うまくなったな」 「……ぇ……?」  くす、と笑われた、唇の間で言われた言葉。  一瞬、何て言われたのか分かんなくて、ぼんやり、颯を見上げる。  顎に触れられて、颯の親指が、オレの唇をなぞる。 「キス。うまくなった」 「――――……っ」  かぁっと顔が熱くなると。 「オレの、好きな感じで、ちゃんと応えてくれてる」  また唇が重なって、舌が絡んでくる。 「……んん、ン……」  嬉しい。とか思ってしまう。  颯の好きな感じで、キスできてるなら。  たったその一言が、こんなに嬉しいとか。意味わかんないけど。  なんかもうオレ。  颯のことが、好きすぎる。  全部好きみたい。どうしよう。これ。  キスしながら、体、あちこちに触れられて、刺激されて。  中に指が触れた時には、もう、そこは十分に濡れてて。 「こん中――――……すっげぇ熱いな……」  颯の、欲を抑えたような声に、ゾクゾクする。  颯の指を容易く深く受け入れて、それだけで、イきそう。 「……っあ……っ……や、ぁ……っ」  ぶる、と震えて、颯の肩につかまるように触れると。  またキスされて。  そのまま、指で奥まで抉られる。 「……んん……っぁっ……」  早く、中、入れてほしいとか。  ……すごく思った時。  指を抜いた颯に、脚を抱えられて、そこにあてがわれる。 「慧」 「……っ……?」 「……欲しい?」  ちゅ、と頬にキスされる。間近で見つめられて、む、と眉を寄せた。 「……わかってる、だろ……っっ」 「分かってるけど」  ふ、と笑う、何だかもう凄絶に、色っぽすぎる、颯。 「……もー…………」  ぎゅう、と目を閉じて。  颯にぎゅう、としがみついた。 「……っはやく……!」  言うと。 「顔見て言ってほしかったんだけど」  クスクス笑って――――……。  そのまま、深く、突き上げられる。 「今日はそれで許してあげようかな……」  笑いを含んだ、甘い、声で囁いてから。  本気で、動き始めた颯に。もうあっという間に快感に取り込まれて。  ……やっぱり、オレ、これは、颯とだけがイイ。  なんて、ずーっと、思ってた。      

ともだちにシェアしよう!