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第76話 甘える?

「――――……」  コトが済んで、オレは枕に突っ伏したまま、ウトウトしながらぼーと、考える。  ……オレ、何回、イったのかな。  もう分かんない。中だけで真っ白になっちゃうのも、あれもイってるに入るんだよね……それも入れたらもうほんとに分かんない。 「慧」  呼ばれて、ん、と顔を少し動かすと、重なってくる唇。 「ん……」  こく。  水。飲まされる。  何回かしてくれてるけど、最中だったりしたことも多くて、シラフの時はあんまりないかも。これ、恥ず……。  ぼ、と顔に熱が。  そのまま、ころん、とひっくり返されて、キスが続く。 「……ん、ン……」  薄目で颯を見つめる。  ……伏せてる睫毛が綺麗。どアップ、かっこいーなぁ……。 「――――……っんぅ、……っ」  油断してたら、上顎なめられて、びくんっと体、震えた。 「……ふっ…………ん、ン」  気持ちい。  颯のキス。  ――――……颯、キス。好きだよなー……シてる間も、ずっとするもんなぁ。オレも。颯のキス、好きだけど。  あー……なんかもう……また真っ白になりそう……。 「……はや、て……」  知らず名前を呼んでて。  あ。名前呼んじゃった……なんて思ったりして。  しかもなんか、甘えてるみたいな、声。  ……ヤバいなオレ。何、今の声。恥ずかし……。  まだ真っ白になり切れてない時に、自分がめちゃくちゃ甘えた声を出したことに気づくと、めちゃくちゃ恥ずかしい。 「……ん、ふ……っ」  ……って、よく考えると、いっつも勝手に漏れちゃう声も、めちゃくちゃ恥ずかしいんじゃ……?  恥ずかしがって焦ってるオレをよそに、めちゃくちゃ深くキスされて。しばらくして、ゆっくりと、名残惜しそうに離れて、最後にもう一度、唇を合わせる颯。  ……颯のキス、大好き。  …………自分の反応が、恥ずかしくて嫌だけど。  ぽー、としたまま、颯を見上げていると、颯が、ふ、と微笑んだ。 「かわい」  くす、と笑って、オレを抱き寄せて、自分の腕の中に引き入れると、ベッドに横になった。そのまま布団をかけて、寝る体勢みたい。 「慧の声」 「……っ?」 「やばいよな」 「――――……っっ?」  今、自分で違和感に気づいて恥ずかしがってたところだから、そう言われて、内心めちゃくちゃ焦る。  なななにがヤバい?  ……甘えてて気持ち悪いとか? サムイとかっ?? 「可愛すぎて」  ぎゅ、と抱き締められながら。  颯の裸の胸の筋肉が、なんかやたら気持ちイイなとか、ちょっと変なことにドキドキしながら。  え。可愛いの、あれ。 「……声、キモくない?」  思わず言うと、は? という声が聞こえて、少し離されて、顎を捕らえられて顔を見上げさせられる。 「今オレ、可愛いって言ったよな?」  じ、と見つめられる。  ……言ってましたけど……でも。 「……なんでキモいに変換されんだよ?」  クスクス笑いながら、頬をぶに、と潰される。 「キスしながら声聞いてると、そのまままた抱きたくなる」 「――――……」  そぅ、なの?? 謎だ、颯。  オレの声でそうなるんだ……。不思議。 「……つか、不思議そうな顔すんの、やめてもらえる?」  クスクス笑って、颯がオレの額にキスする。  ……なぜ不思議そうって、バレるんだろ。   「甘えてくるみたいな声。可愛くてしょーがないし」  ちゅ、と頬に柔らかくキスされて。  ……なんか。  キスされたとこが、熱い。

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