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第105話 好き好き ※

 いつもなんだけど、今日はもう、強烈、だった。  颯の匂いが、甘くて甘くて、脳がしびれる。  何にもされなくても息が上がるのに、颯が、気持ちいいことばっかり、ずっとしてくる。  体、どこに触られても、びく、と震える。  自分の反応に驚いて咄嗟に颯を見上げると、興奮してる颯が、それでもなんだか、ふ、と優しく笑う。  可愛くてしょうがない、て顔をする。それは、言われなくても、分かる気がする。  それを見るたび、胸がキュンキュンしすぎて、苦しすぎる。  もうオレほんと病気……。 「……はやて……」  汗ばむ颯の背に、ぎゅう、と抱きつく。  愛撫の合間に何度も、キスしながら、あっという間に溶かされていく。 「……んんっ……ん、ん……ふっぁ」  繋がっただけで、世界は真っ白になる。 「……はや、て」  きもちい。  ……死んじゃう。  脚、大きく開かされて、颯が奥に入ってる。  入ってるだけでもう、死にそうなのに。 「……っうご、くの、待って……」 「……拷問?」  クスクス笑いながらそう言って、でも颯は、動かずに、少し体を動かして、オレの真上に来てくれた。 「慧……」  頬に触れられて、ぎゅ、とつむってた瞳を開けるけど、涙で濡れてて、ぼやける。気付いた颯が、指で涙をぬぐってくれた。 「……はや、て……」  じっと見つめると、「ん?」と、颯が微笑む。 「……す、づくりね……」 「ん? どした?」  は、と息を抑えながら、颯が、ふ、と笑って、聞いてくる。  多分。すごく。我慢、してくれてる。  経験なくても、オレにも、それは分かる。  颯の汗が、綺麗。ぽた、と零れた汗に気づいた颯が、自分の前髪を掻き上げる。綺麗な額。少し、寄った眉。雄っぽい、雰囲気。  もうほんと。超カッコいいな。この人。  ――――……あーもう。好き好き……颯。 「……たのしかった……けど」 「ん」  くす、と笑いながら、颯がオレを見下ろして、ちゅ、と頬にキスしてくる。 「……居て、くれて……」 「ん」 「……うれしい」 「――――……」 「……!」  ……っ……うわわ。  ……中、で、反応した。  かぁぁ、とますます熱くなる頬に慌ててると。  颯がオレの手首をつかんで、ぐ、とベッドに括りつける。 「……動くなって言っといて、何でそんな、可愛いことだけ言うの」  くす、と笑いながら、ちゅ、と首筋にキスしてくる。 「ん、ん」  息がかかるそれだけにすら気持ちよくて、びく、と震えて。顔を起こした颯を見上げる。 「……からだ……すご、く、熱い」  「ン」  じわ、と浮かんだ涙に、キスされる。 「……慧のヒートはさ」 「ん……?」 「いまんとこ、オレに反応して、起きるみたいだな……」  クスクス笑う颯に、ゆっくり、奥を突かれる。 「……まだ定まってないからかもだけど……ほんと、可愛すぎ」  囁きながらキスされる。  舌が触れて、んん、と声が漏れる。そっと少しだけ離れた颯と見つめ合うと、ふ、と優しく瞳が細められる。 「動いていい?」 「……うん」  手首、抑えつけられたまま、きゅ、と握ると。  颯の手が手首から、指先に移動してくる。きゅ、と手を繋がれて、押さえつけられる。  絡む指先。ふと、その手を見つめた瞬間、颯の手に指輪を見つけて、ぎゅ、と心臓がときめく。  うー。  ……大好き。大好き、颯。   「……はやて……」  息を吸って、好き、て言おうかなと、思った瞬間。  急に、深く突きあげられて、ひあ、と叫び声が上がった。 「……ん、んんっ」  ぎゅ、と手を繋ぐと、死ぬほどときめく。  ――――……気持ちよすぎて、もう無理。  こうして。  一人で巣作りして過ごすはずだった三連休は。  颯のせい(?)で起きたヒートで、颯にさんざんつきあってもらって。  二人でずっといちゃいちゃして過ごした。  でもちょっと巣作りできて、幸せ感には浸れたし。  ……颯に、すっげー可愛かったって、すっごくたくさん、可愛がってもらえたし。  まあよしと、する。

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