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第106話 昼・Ω会議 1

 イチャイチャの三日間を過ごして、今日は月曜。  午前の授業を終えて、お昼に約束した友達を待っているところ。  窓際の席から、青い空を見上げていたらふと、週末のことが頭をよぎった。  イチャイチャの直後。うとうとして颯の腕の中に居たオレは、よしよしと頭を撫でられていることに気づいた。目を開けた瞬間。オレをじっと見てる颯と目があって、かあっと赤くなる。 「なんで見てんの……」 「可愛いから」  クスクス笑われて、ますます赤くなる。  ふと、シてる最中気になってたことが頭に浮かんで、あ、と颯を見上げた。 「ん? どした?」 「んーあの……な、颯さ?」 「ん」 「ずっと……ゴム……してるでしょ?」  ゴムのとこだけ恥ずかしくて小さめの声で言うと、颯は、ん? と首を傾げながらオレの頬に触れた。 「ああ。してるけど……?」 「……たまには、いい、よ?」 「――――……」  数秒じーっと見つめられて、オレがまたかぁぁぁっと赤面すると、颯はクックッとわらいながら、オレをその裸の胸の中に抱き寄せた。 「前に決めたろ? 卒業するまではって」  クスクス笑いながら、オレの頭をクシャクシャ撫でる。  ……確かに決めた。  家族たちと話して、学生の内は妊娠を避けるって。  でもって、颯は避妊薬をオレにあんまり飲ませたくないみたいで。最初の時以来はずっとゴムをしてる。  ……でも、もうオレ、つけずにされるの気持ちいいの知っちゃってるし。いや、もちろん、つけてても十分なんだけど……って何言ってんだろう、オレ。  でも、今回、ヒートの時は余計、中で、って思っちゃうんだって、気付いた。  安全性は確立された、昔からある避妊薬(しかも颯が持ってるの、めちゃくちゃ高いやつらしいし)だし、たまには、いいんじゃないかなーと、思ってしまったのだけど。 「避妊薬って、百パーじゃないの知ってるだろ」 「うん。知ってる」  そう答えると、颯がゆっくり動いて、オレと視線を合わせる。 「大学は卒業したいだろ?」 「……うん」  そうなんだけど。分かってるんだけどさ。  ……いや、分かってる。颯が言ってることが、正しい。  そう思って頷いていると、颯が、ひょい、とオレを自分の上に乗せて、両頬を挟んでオレを見つめた。 「何? 中に出してほしいって思ったの?」 「な……」  直聞きすぎるー!!  体勢も恥ずかしいし、とにかく真っ赤なオレは、顔を押さえられてて動かせないので、ぎゅう、と瞳を閉じた。すると、ちゅ、とキスされる。恐る恐る目を開けると、颯は、ふ、と微笑んだ。 「オレもそうしたいけど。……正直最初の時は盛り上がりすぎてて、子供出来ても籍入れればいいしとかもう思ってたのもあったから」 「……」  そうなんだ。あれ、本気だったんだ。 「でもその後、家族たちで決めただろ。慧の人生もあるし、大学は出といた方がいいから」  言いながら、颯は、クスクス笑って、オレの頬をつぶした。 「……オレも我慢してんだからさ。そんな残念な顔すんなよ」  ちゅ、と頬にキスされる。 「卒業決まったら。もう我慢しないから。それまでは慧も我慢してて」 「……うん」  そっか。颯も我慢なら、しょうがないか。うん。  ふむふむ、と頷いてると、颯がなんだか可笑しそうに微笑んだ。 「慧はさ」 「……?」 「オレとの赤ちゃん、今できてもいいの?」 「…………っっっ」  ぼぼぼぼっ。  真っ赤。 「あ。の」 「ん」 「……こないだΩの皆と話してた時、そうだ、オレ、赤ちゃんうめるんだ、て思って……」 「うん」 「……そういえばピルも飲んだし……」 「うん」  くす、と颯は笑いながら、熱々のオレの頬をぷにぷにとつまむ。 「……なんか……ヒートん時って……」 「うん」 「……いつもより、してほしいって、思う、みたいで」 「中で?」 「…………っっ」  もう無理。顔がやけどする。  ひしっと、颯にくっついて、顔を隠す作戦に出た。「お?」と珍しくちょっと驚いた声を出した後、颯は可笑しそうにクスクス笑って、オレの背中をポンポンと撫でるように叩いた。 「ほんと可愛いな、慧」  声が優しすぎてもう無理だ、オレ。  なんでこんな会話振っちゃったんだ、もう、絶対恥ずかしくなるの分かってたじゃん。  …………。  と。そんな会話でめちゃくちゃはずくて、死ぬかと思ったことを思い出しながら、真っ青な空に目を細めていると。 「あ、居た居た」  そう言ってオレの近くに座ったのは。  こないだのΩ会議の三人。紗良と奈美と啓太。  急遽朝連絡して、招集させてもらった。

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