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第114話 におい…?

 三限が終わって友達と別れ、四限の教室に向かって歩き始めた。たまたま今日は一人で、そういえば、と考え始める。  なんかオレの周りって、αがめちゃくちゃ多いよな。颯もなんか言ってたっけ。  高校までは設備も整っててαとΩが集まってくるとこだったから多いのはまあ分かるけど、また今日一人、αと知り合ったし。……希少なんじゃないのか、αって。あ、それよりΩの方が希少なんだっけ。……ていうか、Ωも周りに多いな。  ……あっ、そうだ、オレって、変性のΩだから、この世でもっとも希少な、超レアな奴だったっけ。  めったに会えない希少種になってしまった感じ。  おもしろ……。そうだった、オレ、すげーレアじゃんね。  ふ、と笑ってしまいそうになりながら、次の授業の教室に入って、昴を見つけて隣に座る。 「なあなあ、昴ー」 「ん?」 「オレ、実は超レアなんだね」 「何が?」 「変性のΩ」  そう言ったら、昴は、きょとんとした顔でオレを見てから、ぷ、と笑った。 「今更過ぎなんだけど」 「まあそうなんだけど。なんか、ふと、思ってさ」  はは、と笑い合っていたのだけれど、昴が不意に真顔でオレを見た。 「ん? ――――なあ、慧?」  少しいつもとは違う声で呼ばれて、んん? と顔を見る。  ちょっと眉を寄せてる昴。 「え? 何? どうかした?」 「……なんかさ」 「ん?」  腕を引かれて引き寄せられてしまう。え、と固まってると、すぐに離された。そのまま、首を傾げてる昴。 「な……何、昴??」 「……なんか匂うけど」 「??」 「……αと絡んだ?」 「えー?? ……あ。うん、絡んだといえば……うん? 階段落ちそうになって、支えられた、けど……?」  そう言うと、昴は、苦笑い。 「颯に怒られる前に、ちゃんと言えよ?」 「んん???」  何だって??   首を傾げていると、昴もオレを見ながらちょっと考えてる風に眉を寄せる。   「……でも、そんなんで、匂いなんかつくかな……」 「……??」 「まあ……どっちにしても、浮気してねえならちゃんと話せよ?」  その言葉にびっくり。 「するわけないじゃん!!」  オレ達、まだ新婚なのにー!  と思いながら、昴を見てると、昴はクスクス笑う。 「まあ、分かってるけど、少し匂うから」 「……匂うって?」 「まあ颯が何も言わなきゃいいけど」  苦笑いの昴に、なんな訳ーと騒いでると教授が入ってきてしまった。  で、その後聞いても、同じ話になるだけで、さっぱり意味が分からないまま別れ、いつも通り駅の近くで待ち合わせてた颯と会った。 「颯、お待たせ」 「ああ、慧。おかえり」  今日は颯の方が早かったので、駆け寄ると、颯がオレに気づいて微笑む。  数時間とはいえ、少し離れて再会すると、颯のビジュアルに圧されそうになる。カッコよすぎるんですけど。……ていうか、あれだな、コンテストは、やっぱり颯が優勝だな、なんて思いながら、自然と笑顔。 「うん、ただいま」  会えてすっごく嬉しいとか。どんだけ好きかな、オレ。  そう思いながら颯の隣で歩き出した。 「慧、夕飯はカレーが良いって言ってたけど、今もその気分?」 「うん!」  朝、今日はカレーを一緒に作ろうよ、と言ってたのを確認されて、思いきり頷くと、颯がクスクス笑う。 「じゃあ材料買ってこ」 「うん」  頷いて颯を見ると。ふ、と笑った颯が、不意に、オレをじっと見つめた。  そのまま肩を抱かれて引き寄せられて、え、と思ってる間に、また離された。 「……? 何?」 「いや。……なんでもないよ」  なんかこれ。さっき昴にされたみたいな……。 「颯、何か、ある?」  恐る恐る聞くと、颯は、オレを見つめて、なにもないよ、と笑う。 「慧は、豚肉と鶏と牛、どれがいい?」 「え。んーと……颯はどれがいいの? いつも何の肉?」 「オレはどれでも食べるから。慧が今食べたいのは?」  なんて言って優しく笑ってくれるから、すぐにカレーの話になってしまった。  昴の言った匂い、ていうのもちょっと気になってたし。  家に帰ったら、聞こうかな。と思いながら、マンションまでの道を歩いた。 ◇ ◇ ◇ ◇ (2023/12/27) 後書きです。BL大賞のお礼です。 ちょっと長いです。 ブログやXでは書いたのですが、アルファポリスのBL大賞、最終順位は、8位でした。 Xで書いてた短いお話を拡げてはみたけど、短編で終わるはずだったこのお話が、 応援頂いてるうちに、なんだか調子に乗って、長編になり、最初全然考えても無かった、BL大賞に出すことになって。 一番最初は、6位スタート(確かそう)だった気が。びっくりでした。 えっ👀?!てなりました(笑) 結果、8位ですけど、〇〇賞とかに入れなかった基準は……話が11月時点で巣作りもできてないから?(笑) まあ他にも色々何かあるかはわかりませんが、しょうがないかなと(*´ω`*) 賞って運とか色々ありますしね、そんなに気にしていません。 むしろ票を入れて頂いた読者様のほうが、 票入れて、8位になってるのになぜー?と、残念がってくださっている気すらします(^^; なんだかすみません~💦 でも、そういうのも、とっても、ありがたいなあと。思います。 でもでも。 2773作品の8位。 って、十分、私にとってはすごいことだと思うし。 好きって。 慧可愛いって。 颯カッコいいって。 皆さんが言って下さるの、すごく嬉しいです(´∀`*)ウフフ💕 毎回可愛いとかカッコいいとかでもなんでもいいので、よかったら、伝えていただけたら~✨ 匿名のマシュマロとかでも。または、Xとかで私を@つけて頂けたら通知が来る(筈…?) 楽しい感想頂けたら、もっと楽しく書けちゃうと思いますので、いつでも(´∀`*)ウフフ 応援、本当に、ありがとうございました。 そして、やっとαさんの感想の返信追いつきました。おそくなってすみませんでした。 色々たくさん感謝です。 ありがとうございました💖

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