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第150話 なかまたち
颯とそんな話をした、数日後のことだった。
「え。学園祭の屋台?」
オレと、一緒に居たオレの友達たちは、顔を見合わせた。
目の前には、颯と、美樹ちゃんと孝紀が立ってる。食堂でお昼を食べ終わった時、颯から、どこにいるか聞かれて、この場所を答えたら、三人で現れた。
「え、それって、颯とオレらの仲間皆で、屋台出そうってこと?」
誠が颯を見上げて、確認のように、そう聞いた。
「ああ。こっちはもう結構人数集まった」
「そうなの?」
オレがそう聞くと、颯は頷く。朝別れる時までは何にも言ってなかったのに。
「何の屋台出すんだ?」
健人が聞くと、颯は「別に何でも。皆で協力して楽しくできるようなものなら」と、答えた。
「面白そう」
こういうのに真っ先に飛びつくのは、誠――――と、もちろん、オレ。
「やりたい!」
颯たちを見上げて、めちゃくちゃ笑顔で言うと、美樹ちゃんと孝紀がほっとしたような笑顔で視線を合わせてる。
あれ? この感じって……と不思議に思った時。
颯がオレを見て、微笑んだ。
「美樹と孝紀からの提案。オレはすぐ乗っかって、近くにいた奴らに声かけたらすぐ集まった」
「そうなんだ」
そっかー、と頷いていると、颯はクスッと笑った。
「やる?」
「うん。サークルとかじゃなくてもできるの?」
「団体登録すればできるって」
そうなんだ、めっちゃ楽しそう。
オレの周りの友達たちも乗り気で、もうすでに皆で色々話してる。
「一緒にやりたい」
美樹ちゃんと孝紀にそう言うと、二人が頷いた。
颯はなんだか面白そうにそれを見ていた。
颯があの日に言った「仲良くなりそう」予想は当たった。というか。
その後、颯の友達と、オレの友達でやりたいメンバーが集まった。
団体として登録して、出店許可を貰いに行く。
焼きそばとフランクフルトとわたあめ。売れそうだからってことで意見を出し合って、すぐ決まった。
学園祭までの間、食堂で皆でよく集まって、相談した。
基本、オレの友達と颯の友達ってあまりかぶってなかった。大学も学部が違うし、もともと高校の延長の仲間で割と固まってたから。
最初は、顔とか名前は知ってても、ほぼ初めましてな雰囲気から始まったのだけど、日々会う内に仲良くなっていった。
オレも、美樹ちゃんと孝紀とも、普通に話すようになったし。もう完全に、友達みたい。途中から、なぜか匠とかそのまわりの後輩たちも一緒にやりたいとか言い出して、なんだかよく分からない団体になったけど。
まあ、なんだかんだ、皆で楽しく準備をしていた。
集まりの代表は、颯。
別に颯がやるって言ったわけじゃないのだけど、なんだか全員一致で決まって、決めた時に居なかった皆も、当然のように、颯が代表だと思ってるみたいで、面白かった。
三つの担当に別れてリーダーを決めた。颯の友達、オレの友達、匠の友達、の三つで別れたんじゃなくて、やりたいところにバラバラで入ったから、よけい入り乱れて仲良くなった気がする。
オレは、焼きそばのリーダーになった。
綿あめは孝紀で、フランクフルトは匠。匠は、昴が押し付けてたけど。
先に準備しておけるものの購入。それから、前日前々日に購入する分と、それぞれの店との交渉。
学園祭までは、家に居ても連絡が来たりして、結構忙しかった。
でも楽しくて。
何だかバタバタと、学園祭まで過ぎていく。
(2024/3/28)
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