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第185話 αの欲 ※
静かな部屋の中。電気はつけてないから月明かりだけ。
あの後ソファに運ばれて、組み敷かれた。
「……っあ……ッ」
キスだけで、濡れまくってた中は、たやすく颯を受け入れた。
中、深く受け入れて、めちゃくちゃキスされながら、奥を突かれる。
「……んん、ふ……ん」
気持ちよすぎて、どうかなりそう。
「……っ慧……」
颯の息が少し荒くなるだけで。気持ち良さそうに、少し眉が歪むだけで。オレが、イきそうになる。だってなんか。もう、快感に直結する。
「はや、て……す、き……」
気持ちよすぎて、ぎゅうと抱きついて、キスの間で、漏れた言葉。
とん、と肩を押されて、ソファに倒されて、急に激しくなった動き。
「……ひ、ゃ……っん、あ……ッ……!」
快感が全身めぐるみたいになって、颯に揺さぶられるまま、呆気なく達して、は、と息をついた唇をまたキスでふさがれる。中で颯をぎゅうと締めて、その中を突きあげられるの、ほんとに気持ち良くて。
今度は、多分、オレ、中でイっちゃって――――……中も、手足も、痙攣しちゃう感じ。ようやく、中で、颯が達したのが分かる。
「……っあ……」
「――――……慧」
荒い息のまま、颯にキスされる。舌、熱い。唾液が混ざり合って、流れてくるのを、ごく、と飲み込む。……颯の。と思うと、それだけでゾクリとして、まだ入ったままの、颯を、ぎゅ、と締め付けてしまう。
「……ん、ふ………」
あーもう……。気持ちよすぎて、困る……。
もうオレ一生颯とだけずっとしてたい。
「……はやて……?」
「ん……?」
話しかけても、ちゅーちゅーキスしつづけてるし、まだ入ったままだし。そんな颯に、くす、と笑ってしまいながら。
「オレとだけ、してて、ほしい……」
思わずそう言うと、颯は、ん? とオレを見つめた。
「どういう意味?」
「んー……颯の、この顔……オレ以外、見せないでほしい」
なんだかまだ余韻に少し震えてる手を、颯の頬に触れさせる。
「……なんか、男って感じ。すっごく熱くて、我慢できないみたいな……めちゃくちゃ、カッコいいから」
「――――……」
「……オレだけ、見てたいなーって……思っちゃった」
あれ。何言ってんだろ、オレ。結構恥ずかしいこと言ったかも。……まーいいや。今ちょっと浮かされたみたいになってるし。なんて思いながら、ふふ、と笑ってしまうと。颯はなんだかマジマジと、オレを見つめてる。……あれ。返事がない。
ちょっと不安になってると、不意に、後ろを抜かれた。
なんか抜かれるだけでも、ぞわっとしたそこに、息を潜めて耐えていたのだけど。
「……? は、や……っ」
ゴムを外した颯が、そのまま、また中に入ってきた。
「……ひゃ……っあ……!」
イッたばっかりで、まだ余韻どころか気持ちよすぎてる中を抉られて、仰け反る。
「慧って、ほんと分かってない」
激しい律動に、喘ぎも絶え絶えなオレに、深くキスしながら、間で囁く。
「……こうなんの、慧だけだって」
「……ンん……あ……っ!」
「……もうこのまま、慧の中、オレのでいっぱいにしたい」
「――――……っ……」
何を言われたか数秒経って気づく。今、ゴム、つけてないし。
……なんかそれでもいいかもと思ってしまうオレ。
は、と颯が一回動きを止める。「しないけど……」と呟きながら、オレの腰を掴んだ。深いところまで入れられて、仰け反ったところにまた深くキスされる。
「……さっきの……慧の考えたの……全部そのままでも、オレは嬉しい」
「――――……っ」
「そん位、一緒に居たいし、オレので居てほしい」
αって。
……αって、そういえば。
独占欲とか。支配欲とか。……すごいんだっけ。
……オレ自分が全然なかったから、すぐ忘れるけど。
…………そっか。もしかして颯って。
オレよりもっと、一緒に居たいって思ってくれてたり、するのかな……。
なんて考えられてたのは、そこまでで。
本気で激しくなっちゃった颯にはついていけなくて。
もう何も、考えられなくなった。
……けど、好きすぎて。幸せすぎて。嬉しかった。
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