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第192話 一番嬉しい
「こんにちはー」
ドアを開けながらそう言って、中を覗くと、「あ」と中の委員の人達、五人がオレを見て笑った。2人が近づいてくる。
「ありがとうございます、来てくれて」
「いえ。何ですか??」
「お願いがあるんです!!」
「は。はい……」
なんだか勢いがすごい。ドキドキしてると。
「もしも、颯さんが優勝したらなんですけど」
「はい……」
すると思うけど、なんて言葉が頭に浮かぶ。
「普通なら前回優勝者が、今回の優勝者に花束贈呈なんですけど……もしよかったら、花束贈呈、しませんか?」
「えっ」
「もしよかったら、なんですけど。 もし嫌だったら、僕ら実行委員の誰かが渡すことにはなると思うんですけど」
「え、オレが、花束を渡して良いんですか? 颯に?」
えっ、そんなの良いの?
「やりますやります!」
「あー良かった、なんかそう言ってくれる気がしてました」
そんな風に言って、委員の人達が皆笑ってる。
「ステージに上がるので、嫌がる人もいると思うんですけど」
「だって、優勝した颯に、一番早く、おめでとうって言えるんでしょ。絶対オレ、渡します」
わー、嬉しい。実行委員さん、超ナイスな提案だー! やったー!
「じゃあ、オレ、どうしてたらいいんですか?」
「そうですね、色んな催しが終わってから、発表があるまでに、時間があるので、そこら辺で、ステージ裏の方に来てもらえたら」
「あ、じゃあ、色んなことしてる間は、見てていいんですね。良かった」
最後まで見てたいから、それができるなら、花束あげられるの、嬉しいしかないな。
「なんか、優勝した颯に花束渡すのとか、めちゃくちゃドキドキするかも……あーでも、嬉しいな。ありがとうございます」
色々考えながら最後、お礼を言うと、委員の女の人二人、おかしそうにクスクス笑った。
「昨日、颯さんとも、ちょっとその花束の話、したんですけど……」
「?」
楽しそうにクスクス笑ってる委員の人達に、首を傾げながら頷くと。
「戦った人達からどうぞって、あげるのでもいいかなーとか、私たち実行委員会からでもいいかなーとか、私たちが言ってて……そしたら、颯さんが」
口元をふ、と抑えて、笑いながら。
言った
「推薦者、どうですか?って聞いてきたので……」
「番の方ですかーって私たちが、きゃーきゃー言ってたら」
「まあそういう反応になりますよね。やっぱりいいです、て颯さんは言ったんですけど、私が、花束貰うのは慧さんがいいんですか、って聞いたら」
ふむふむ。聞いたら……?? ドキドキ。
「そりゃ、一番、嬉しいですけど。って」
「――」
「それはそれは、なんか尊い笑顔で言ってましたよー」
いちばん、うれしい。
――――カァッと赤くなった、と思う、オレ。
「いいですよねぇ、仲良くてー。そうそれで、颯さんは、やっぱりいいです。負けた人とかはあれなんで、実行委員の人、お願いしますって言ってたんですけど、もうそこに居た、満場一致で、慧さんに確認しようってことになって」
「もちろんそこは、颯さんが引いたまま、何も言ってないので、これは、サプライズです!」
「でも、絶対、一番嬉しいって言って喜んでくれるってことが分かるサプライズって、すごくないですか~」
もうなんか委員の人達、盛り上がってて、超楽しそうだけど。
オレはなんかもう、すごくドキドキしちゃって。
一番嬉しいとか。めちゃくちゃ嬉しい。
(2024/11/1)
αさんのBL大賞今日から投票開始になりました。
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