あれから、ベッドに組み敷かれて、キスされた。深く。 　もう……好き。颯。 「ん、っ……んん」 　キスが少し離れて、服を脱がされる。裸の体に、颯の熱い手が触れる。 　いつもいつも。 　オレに触れる、颯の手は、熱い。 　オレに――興奮、してくれてるんだなっていっつも、嬉しい。 「……颯」 　呼んだ唇に、またキスが重なってくる。 　オレ、めちゃくちゃ、颯のキスが、好き。 　……まあ。 　他としたこと無いから、マジで比べようがないんだけど。 　キスってこんなに、頭のなか、まっしろになって、好き、てことしか考えられなくなるものなんだろうか。 「――慧……」 　唇の間で、オレの名前を呼んでくれるのも、好き。 　いつもの、ちょっとクールな、良い声も好き、だけど。 　ちょっと上がった息の間で、その息と混じるみたいな、囁き声。 「――――……っ」 　きゅうっと胸が締め付けられるくらい、とても好きだと、思う。舌が、なんかもう、どう動いてるのかも良く分かんなくて、溶けて……。 「んん、ん……っ」 　舌、つりそう……。少し逃げると、後頭部に回った手に、また引き寄せられる。――そう、いつも、息が苦しかったり何かの理由で、少しだけ逃げてしまうと、すぐに引き戻される。 　そうしてほしくてわざとやってる訳じゃないけど、そうされると、あ、まただって――少し強引なの、嬉しくなってしまうのって、おかしいのかな……。 「……ん、ぅ……っ」 　くるしい、けど。 　――好き。 　なんだか体から力が抜けて、枕にくたっと沈み込んだオレに、ふ、と笑う颯は、なんかもうめちゃくちゃ色っぽくてカッコいい。 　着ていた服を脱ぎ捨てると、またオレに重なる。筋肉、気持ちよくて、ぎゅう、と抱きつくと、汗ばんでて――颯の匂いに、くらくらする。 「……ぁっ」 　胸の片方を口に含まれて、びく、と体が震えた。 　あ、なんかこのままだと、またすぐ颯にされるがままに。 　たまには……オレもしたいかも。そう思って、いつもならさらにしがみつく颯の肩を少し、押した。 「はやて……」 「ん？」 　多分本格的にオレに触ろうとしてた颯は、起き上がろうとしたオレに不思議そうな顔をした。 「慧？」 「……あの……ちょっとだけ」 「ん？」 「――颯の……オレが、してもいい？」 　恥ずかしくて、ちょっと俯いてしまったら、颯の手が頬に触れた。そのまま、唇に触れて、なぞられる。自然と目が合うと。 「したいの？」 　目を細める颯に、見つめられて、ドキ、と大きく鳴った心臓は、そのまま速い音を立ててる。うう。色っぽすぎる。それも、男としての、すごいカッコいい、色っぽさ。――どうしよ。できるかな。 「――うん」 「無理しなくていいけど」 「バレンタインだから」 　ちよっと遠慮しそうな颯に、なぜかとっさにそう言ったおかしなオレ。バレンタインだから何なんだ。とちょっと恥ずかしくなったところで、颯は、クスッと笑った。 「バレンタインだから、頑張るの？」 「……よく分かんないけど、とにかく頑張る」 　意を決して頷くと、颯はクスクス笑って、体勢を変えてくれた。ドキドキしながら、颯の服からそれを取り出して――口に含んだ。 　颯がこれをすると、オレはもう一気に気持ちよくさせられてしまうから。颯はそういえばいつもどうやってくれてるんだろうかと、ちょっと首を傾げそうな気分になるけれど。 　なんとなく、こうしたら気持ちいいかな、というのをしていると、颯の手がオレの後頭部に触れてきた。くしゃ、と髪ごと、触れられて。くすぐったくて、ゾクリと背筋がしびれる。 　きもちい、のかな。少しは。 　少し速い、颯の息遣いに、ちょっといい気持ちになったりする。 (2025/8/1) ずいぶん空いてしまってすみません💦 久しぶりのイチャ💕続きます☺️