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【終章】黄金の祝祭(6)
フリードを世話係としてアルフォンスの側に置いたのは、何も知らない他国の人間と一緒にいるほうがカモフラージュになるとの判断だろう。
そういえばフリードは頑なに部屋から出ないようにしていたっけ。
──俺に言うわけないか。
アルフォンスは肩をすくめる。
敵対している他国の王弟に、そんな重大な秘密を打ち明けるはずもあるまい。
でも……と思う。
知っていればカインを王殺しの残虐な男という目で見ることはなかったのにと。
こんな思いは感傷にすぎないのだろう。
だからアルフォンスは言葉を呑み込んだ。
九年前に自分のせいで大怪我を負ったカインは、その後フリード王に助けられたという。
自分とディオールのように、あるいはそれ以上に彼ら二人の絆も強いものがあるのだろう。
「つまりですね、リリアナさん。そういうわけなんですよ?」
「そういうわけ……ですか?」
言葉足らずな王に対して、リリアナが小首を傾げている。
彼女は助けを求めるようにアルフォンスの方に視線を転じたが真顔で首を振られ、今度はカインを見やった。
しかしフリードとは長い付き合いであるはずのカインも訝しげな表情を作る。
結局、一同の視線がフリード王のもとに集まったところで王はなぜだか満足そうに頷いた。
「ロイ将軍は……おっと、前将軍は裁判にかけられるでしょう。ですがカインさんは今となっては仮の王という位置づけですし、クーデター罪がそもそも成立しないのです」
「陛下、それはつまり……」
「つまり、そういうことなのです」
名奉行よろしく上手く裁いたつもりになっているのだろう。
フリードは得意げに一同を見渡した。
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