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【終章】黄金の祝祭(21)【完】

「姉上がフリードに話をつけた。今後一年は不可侵とし、その間に同盟に向けた和平の話し合いをすると」  さすが姉上。行動力がケタ外れだと、アルフォンスは同じ台詞を吐いた。 「交渉におけるレティシアの全権は俺だ。お前には調整役として両国の間に立ってもらう。それはさっき俺がフリードと交渉して決めたことだ」 「じゃ、じゃあしばらくここに?」 「同盟交渉の全権だ。お前と遊んでる暇はないぞ?」  よほどカインが嬉しそうな顔を向けたのだろう。  戸惑ったように視線を泳がせ、結局アルフォンスはツンとそっぽを向いた。 「姉上は国内で奴隷制度の廃止を模索している。長年続いた制度だから大変だが、姉上ならやってくれるだろう。だから俺は、ここでやるべきことをこなす」  ふたりの前で不意に目の前が開けた。  丘の上では白い花が太陽の光を受けて黄金色に輝き、風と遊んでいる。  不意の強風に、アルフォンスの髪がカインの肩をくすぐる。  黒衣の胸にもキラキラと金色が揺れていた。  幼かったアルフォンスとカインを繋いだ小さなおもちゃの装飾品だ。  ちらりと見やり、アルフォンスは微笑をこぼす。 「黄金色はお前の黒に似合うな」  街のざわめきが風に乗って微かに届く。  数日に渡って続いた《血の祝祭》が終わりを迎えるのだ。  だが、ここは隔絶された花の空間。  愛も秘めごともすべて花が隠してくれる。  今この瞬間、ふたりを包むのは眩いばかりの黄金の祝祭だ。  簒奪王の劣情と黄金の秘めごと・完

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