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第14話 交換こ
久しぶりのセックスの相手役。
童貞。
その二つ、交換こしましょう、なんて。
交換になってないだろ。どう考えたって。俺のと、枝島の童貞じゃ、同価値じゃないから、交換にならないのに。
俺の手を掴んだ枝島の手は強くて、ほどいてくれそうもないし。
繋いだ手の、指先はヒリヒリするくらいに熱かったから。
そんな意見は言えそうもなかった。
ベッドに移動して、さっきの続きをするのにも戸惑って狼狽えている指先に、枝島が丁寧に丁寧に、キスをする。そっと唇が指先に触れると、気恥ずかしくてたまらなくて、思わず視線を逸らした。
「っ」
枝島がベッドに手をつき、逸らした俺の視線を追いかけるように首を傾げて、キスをする。もう初心者同然だと暴露した俺は開き直って、戸惑いを隠さず、おずおずと舌先を絡めてくと、応えるように枝島の舌が巧みに巻きつく。
吐息まで混ざり合うような濃厚なキス。
「なんか、色々聞きたいこととかあるんすけど」
「? ぁ、達也のこと?」
「けど、とりあえず、俺と、してくれるんすよね?」
「っ」
「……」
目を合わせたら、心臓止まりそうな気がした。
耐久試験で、突然、耐久限界超えて壊れるみたいに。
「枝島が思ってるようなそんなのじゃないからな。ネットで言ってたみたいなのは、期待されても困るし。不慣れだし。本当に、その、期待外れだぞ。だけど」
「……」
心臓が壊れそうで、しがみつくように、枝島のバスローブをぎゅっと握った。それから自分のバスローブもぎゅっと握って。
「……いいよ……しても」
もしかしたら聞き取れないかもしれないほど小さな声で呟いた。
「あざす……」
変な話だ。
俺が相手じゃもったいないって言ってるのに、「ありがとう」なんて。
「ン」
けれど、食べられそうな勢いのキスをされて、しがみつく手がじんわり熱くなっていく。
「は、ふっ……」
「髪」
「?」
「濡れてて色っぽい……」
「何言っ、あっ……っ、んんん」
「うなじのとこ、雫が滴って濡れてます」
「っ、ン」
俺って、首筋弱いのかな。枝島の唇が濡れてると指摘した襟足に唇で触れると背中をぞわぞわとした。
「は、ぁっ」
くすぐったいのと、心地いいのと、落ち着かないのが混ざり合って身をすくめると、鎖骨にキスをされて、首よりも幾分か固いだろう骨っぽい肩には、歯を立てられた。
「脱がせてもいっすか」
「……ぁ」
「貴方の裸がすげぇ見たい」
見たって面白くないぞ。ちっとも。そう、文句みたいな口調で呟いてしまう。
「なんで? はちさんの自撮り、いっつもすげぇ数のリアクションついてる」
「あ、れはっ、肌とか」
一応、少しばかりは加工するだろ。肌色が少しでも綺麗に見えるように色合いとかさ。どうせ会って誰かに披露することもない裸なんだから、色味くらい変えたって詐欺だって訴えられることもない。
だから、あれは架空の産物なんだって言いたかったのに。
「っ」
「けど、全然、こっちの方が……ヤバいけど」
「そんなわけ」
「触ってみたいって思ってた」
「っ」
バスローブの中を大きな手が弄る。平べったい胸を撫でられて、乳首が……。
「っ」
乳首が掌に当たっただけで飛び上がりそうになった。
「っ……ン」
乳首を、その親指で押し潰される。
「あ、ン」
摘まれる。
「あっ」
ど、しよ。気持ち良い。
「あ……ぁ」
ほら、もう、なんか。クラクラする。
「あン」
そして、乳首の感度を確かめるように、親指が何度も押し潰して、擦って。片方だけ、ずっとでかい手でもてあそばれて、もう片方が、こっちも可愛がってとねだるように疼いてく
涼しい顔をして、黙々と作業しているところは物静かで落ち着いていて、二十四には見えなかった。
その枝島とこんなことするなんて。
「あ、んんんっ」
やばいくらいに興奮する。
「あっ」
あの寡黙な口が、乳首に噛み付いてることに。
「っ、あ」
あのぶっきらぼうな口に乳首を喰われることに。
「気持ちいい、っすか?」
「っ」
隣のデスクで飯を食べてた枝島の舌が愛撫に濡れて赤くなってる乳首を舐める、とこ。触れそうなのに、その先端をもう少しで舐めそう、なのに、寸前のまま、じっとこっちを見つめてる。
質問に答えてと、舌で焦らされてる。
「ん、ぃ……い」
乳首、もっと、して欲しくなる。
「あっ、も、しつ、こいっ……あっ」
あの口に食べられそうなの、たまらない。
「……」
「あ、待っ」
執拗に乳首を責められてたまらなかった。
「待っ」
キツく吸われながら、その口の中で舌に突かれて、もう片方をキツく指先に摘まれた瞬間。
「っ、ンンンンンっ」
つま先に力が入った。
「はぁ……ぁ……っ、ン」
イくなんて。
ウソ……だろ。
だって。
「は、ぁ……な、に、今っ」
「イった、の?」
「っ」
「見せて」
「ちょ、バッ」
大慌てでバスローブの前を握り締めようとしたけれど、それよりも早く大きな手に膝を鷲掴みにされて、割り開かれて。
イったばかりで脚の付け根にかかった白を見られると、身体の奥のところが切なくなる。きゅぅ、と締め付けられる。
「こ、れは久しぶりだから、だ、見る、な」
ここだけでイクなんて。
「あ、こら……触」
脚に飛んだ白を長い指が拭う。
「うぅ……ン」
拭って、その白をまだ中途半端にしか柔らかくなっていない孔の口に塗り込まれて、恥ずかしさとしている行為のいやらしさに体内から熱がじわりと広がっていく。
「あ……ぁ」
乳首にしゃぶりつく枝島に興奮した。
「やっぱ、全然」
おかしくなるくらい。
「こっちの方がヤバい」
乱れたバスローブの中で、身体が熱くて、溶けそう。
射抜くように俺を見つめる枝島の視線の熱さに、溶ける。
「本物、ヤバい……」
膝を掴む枝島の指先も熱かった。
「あぁっ……っ」
中に入ってくる長い指も熱かった。
その瞳も濡れていて、綺麗で、吸い込まれそうだったからしがみついたんだ。
「ん……枝島」
しがみついて引き寄せて、舌を絡めるキスをすると、交換し合うお互いの唇の熱に、キスと長い指と、久し振りに開かれた身体の奥が濡れた音を立てた。
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