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第16話 理性も、トロトロ
枝島の指がやたらと熱いから、溶けたんだ。
理性が。
「……これ、挿れて」
トロトロに。
先っぽを撫でると、枝島が肩を揺らした。その拍子に枝島が着ていたバスローブがその肩から滑り落ちて。
引き締まった身体、してる。肩が骨っぽくて、喉仏が大きくて、息を飲む度、それが動くのがわかる。
今もほら、半裸の俺を見て喉を鳴らした。
「スポーツとかしてたの?」
「えっ? あ、剣道を」
「へぇ、袴、あれ着たら、かっこいいだろうな」
「全然っす……」
そんなことないよ。カッコいい。って言ったって、きっとまたそんなわけないって否定するだろうから、それは言わずに起き上がって、キスをした。
触れるだけの。
俺の着ているバスローブは滑り落ちて、腕に引っかかってるだけ。腰紐は結んではいるけれど、太腿まで露わになっただらしのない格好だ。その脚の付け根を見つめられて、その視線にゾクゾクしながらキスをした。
目を閉じて。
唇が離れて。
そっと目を開けて。
ベッドに座って、開いた脚の間に枝島が座ってる。
「ゴム、俺がつけるよ。枝島の手、びしょ濡れだから」
ベッドの上、ライトが取り付けられている隣にカゴに入っていたそれをひとつ取った。
「っ」
ゴム付けるのに、ちょっと触れただけで、枝島が顔をしかめる。その口元にまたキスをした。でも今度は枝島が舌を入れてきたから、すぐには離れなくて。キスをしながらゴムを枝島の硬いそれに付けていくのは、まるで俺が早くこれが欲しいとセックスをせがんでるみたいで、興奮した。
たっぷりすぎるくらい舌を絡ませ合うキスに唾液が零れ落ちそうになるから、慌てて喉を鳴らして、角度を変えて何度も、いつまでも続く口づけに、ようやく唇が離れると息が上がっていた。
「っ、はっ、キス長い、その間に枝島の、これ、萎えたり」
「しないっす」
本当に?
「手、っつうか、指に」
「?」
「貴方の中の感触が残ってる」
「っ、あ」
そう低い声で呟きながら、首筋にキスをして、まだローションで濡れた指がほぐしたばかりの柔い孔に触れた。
「今から、ここに挿れるって想像しただけでやばいんで」
「あっ、っ」
「全然萎えない」
断言した枝島の指を仕立てられた孔に浅く咥えさせられて、思わずつま先がシーツを蹴った。
「……いいっすか?」
違う。
むしろこっちがききたいよ。
俺なんかで。
「挿れたい……」
いいのか? って。
「い……よ」
一つ、息を飲み込んで、頷いてから、ゆっくりとベッドの上で後ろを向いた。
「ここ、に」
すごい格好。
四つん這いになって、こんなところを見せつけるみたいに自分の手で広げてるなんて。
ヒクついてるそこを、指で撫でる、なんて。
「早……く」
恥ずかしさで蒸発しそうだ。熱くてたまらない頬をベッドの、柔らかい枕に埋めながら、小さな声でそうねだると、腰に、濡れた手が添えられた。
「っ」
熱い。
「あっ」
枝島の、太いのが。
「ぁ、ンンンンっ…………っ」
入ってくる。抉じ開けられて、熱くて硬いものが身体の中心を貫いていく。
あんなにほぐしたのにそれでも、指よりもずっと太くて圧迫感がすごい。
「は、はぁっ……は、ぁっ」
「大丈夫、っすか?」
「あ……ン」
「このまま」
「っ」
「馴染むまで、待つんで」
低い声が掠れてた。枝島の切羽詰まってるって感じの声が、背後、すぐ近くで聞こえて、背中に枝島の唇が触れる。
背中に、肩に口付けられながら小さく甘い吐息をこぼして、その度に枝島のをキュンキュンしめつけてる。
熱い。
中でドクドク脈うってるのが分かる。
枝島の……。
「……動いて」
気持ち、い。
「あっ……っ、ン、んんんっ」
ずるりと引き抜かれるギリギリ。
「ンンっ」
そこからゆっくりまた抉じ開けられてく。
「ン」
ゆっくり、また抜かれて、また。
「んん」
中を擦りながら奥に。
「ン」
激しくないのに。
「ぁ……ン」
「……声」
「?」
「聞きたいっす」
「あっ」
俺の声?
「ぁ、ごめ、声っ、出すの、は、あんましたかった、から」
「?」
「いっつも声、我慢してたから、ぁ、だからっ」
いつもセックスするのは学生寮だった。
だから、隣には絶対に漏れ聞こえることのないように、声を我慢してた。それが癖になってたんだ。というか、そのセックスしか知らなかったから。
「いっつもって、前の?」
「? そ、う……っっ」
ずるりと引き抜かれて、思わず背中が仰け反った。
もう、おしまい? あんまり、俺の中は気持ち――。
「声、出して」
「あっ」
「それから、顔見て、させてください」
「ぁ、あぁぁぁぁぁぁ」
脚を割り開かれて、覆い被さった枝島の熱いのを一気に差し込まれた。ずぶりと、根本まで全部、一気に。
「あっ……」
それだけで甘イキする。
「あっ」
「声、出して」
「ああああっ……あ、待っ」
ズンって奥をペニスで貫かれながら、乳首を指で摘まれて。
「っっっ、あぁっ」
「もっと声」
「あ、待っ、それ」
引き締まった背中を丸めて。
「あ、あぁっ、ンン、あン」
無口な唇で乳首をしゃぶられながら、奥を何度も枝島の熱で抉じ開けられて、貫かれて。
「もっと、声」
「あぁっ、激し、ぃっ、あ、あ」
濡れて熱がぐちゃぐちゃに掻き混ぜ合わさるセックスの音と、自分の知らなかった甘ったるい声と、それから。
「その声、すげぇ、いい」
セックスの時は饒舌になる枝島のキスの音。
「あ、あ、枝島、あ、待っ」
「っ」
「あ、イク、イク、イクっ」
鼓膜まで気持ちいいセックスにしがみついて。
「あ、イクっ、あああああっ!」
「っ」
二人で一緒にイッた。
「……あっ」
ゴム越しでも分かるくらいドクドクと脈打って射精してることにまた、甘イキして。
「ぁ……っ」
乱れきった呼吸までしゃぶりつくようなキスを交わすと、繋がったままの奥がきゅぅんって枝島のまだ、硬いままのそれにしゃぶりつくのが自分でもわかった。
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