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02魔法師団
「……では、各地に小さな魔法陣を描き、その魔法陣を繋いで更に大きな魔法陣を描くことで、領域魔法を強化する……と」
「はい。その際、この城とアッシュフィールド公爵家の離れ屋敷も魔法陣に取り込みます。霊脈の力を取り入れることで魔法陣と領域結界をより強化しようと思いまして」
ディアドラさん、すげぇ。
美人で仕事も出来て説明もわかりやすい。
「では、まずは各地のポイントに向かって魔法陣を描いて領域魔法を展開。その後も各地を回って歌で魔法陣の定着、領域結界の維持を行うという形でしょうか?」
「そうなりますね。各地のポイントに向かう際は私がヴァニタスに同行します。ディアドラではなく、私、スピルス・リッジウェイが」
いや、ディアドラさんの方が年上だし、スピルスは俺より年下だけど、大人げなさすぎるだろ。
しかも中身は赤津孝憲の同級生の虎田大和だろ?
前世から数えると……やめよう。
とにかく、大人げなさすぎるだろ、お前。
「各地を転移魔法陣で繋ぐってことも可能か?」
「うーん……ディアドラ、どう思う?」
「一度魔法師団の方に持ち帰りましょうか?」
「可能ならアッシュフィールド公爵家の離れ屋敷にある転移魔法陣を見せてもらえるとありがたいんだけど……」
「柚希の部屋にも転移魔法陣を描いたぞ。でも、転移先の湖の魔法陣も見たいってことだよな?」
「そうですね。こっそりではなく許可を得た上でアッシュフィールド公爵家の離れ屋敷の調査をしたいです。離れ屋敷の結界がどのような状態なのかも、可能であれば調査しておきたいですね」
「アッシュフィールド公爵家に話を通してみようか?」
「そうですね。師団長、お願いできますか?」
スピルスが仕事してるところ、初めて見た気がする。
仕事中はやっぱり大賢者様なんだなぁ……。
惚れ直したかも。
「それでは、少し席を離れますね。ヴァニタス様、失礼します」
魔法師団所属の他の魔法師と話をする為に、ディアドラが席を立った。
団長室には俺とスピルス。
それと……。
「残念、お兄さんもいました」
「知ってた」
柚希が人間の姿になる。
「柚希、お前魔力切れ起こすなよ」
「大丈夫大丈夫。城の霊脈がすぐ近くだから。というか、霊脈の近く……或いは霊脈の上に魔法師団の部屋を置いたんでしょ? だから部屋が地下なんでしょ?」
「相変わらず腹が立つスライムですね……確かに、この城の霊脈は我が魔法師団が管理しています。魔法師団の部屋が地下にあるのもその為です」
なるほど。
魔法師団が霊脈の管理や守護をしているんだ。
「その割に、アッシュフィールド公爵家の地下の霊脈の管理は雑過ぎない?」
「あちらは、アッシュフィールド公爵家が管理している筈だったのです。まさかアンデッドの巣窟になっているとは、魔法師団も想定外だったのですよ」
親父もシルヴェスターも戦士寄りだし、アッシュフィールド公爵家に魔法師タイプが生まれることが少ないのかも知れねぇな。
「ところで、そろそろいいでしょうか? この猫のぬいぐるみについて聞きたいのですが」
スピルスの足をサンドバッグのように叩きまくって蹴りまくっていた猫のぬいぐるみが捕縛された。
スピルスに首根っこ掴まれている。
「詳しく、教えてくれますね……ヴァニタス」
スピルスが怖えぇ……。
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