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第1話 ハジメとミト 出会い①
出会いは麻布のゲイ・パーティ。ハジメはペルーでのキツい労働を終えて2ヶ月ぶりの帰国だった。空港から愛車のレンジローバー・イヴォークに乗って家に帰る前にここへ来た。男に飢えていた。ここは厳しい会員制だからやばい奴はいないはず。ハジメは会員になって随分経つが、たまにしか顔を出さない。会費も高いが入会には厳しい資格審査がある。パーティの性格上、やむを得ないだろう。高額な入会金と古参会員の紹介が必要だ。長い髪をキリリと結んだサムライの風格の美丈夫、ハジメ、を支えたい財界の大物は多い。
混雑しているいつもの二重ドアを開けて中の様子を眺めていると、なんだか不安そうな美少年が助けを求めてこっちを見た。ハジメが手を掴んで外に出る。
「誰?」
いきなり抱きすくめた。
「初めて会うな。一瞬で惚れた。おまえ名前は?」
「ミト。3月10日生まれだからミトだっておかあさんが言ってた。」
「ミトか。俺はハジメ。一と書いてハジメだ。
一月一日生まれなんだ。お互いに日付けだな。
覚え易いな。少しドライブするか?
この先に俺の車が止めてある。」
庭を抜けて駐車スペースに行くとロジのメルセデス・マイバッハや誰かのフェラーリが並んでる隣に、埃だらけのイヴォークが停まってた。
「カッコいい車だね。」
「さっきペルーから、帰って来たんだ。車はずっと成田の駐車場に止めっぱなしだったから汚れてるな。2ヶ月ほど日本にいなかったから。」
「じゃあ、今夜僕たちが出会えたのは奇跡だね。」
「ロマンチックだな。ミトは可愛いな。」
麻布の町を飯倉の方へ抜けて東京タワーを越えて行った。
「何処に行こうか。2ヶ月ぶりだが、俺の家に行くか?」
「うん、行きたい。遠いの?」
「残念だな、家はすぐそこだ。」
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