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第30話 インド・ネパール編

 チャンドラ・ボース空港は、最近改装されたらしくまあまあ綺麗だけど便数が少ないからか閑散としている。  昔はドムドム空港っていう名前だったはず、と母さんが言ってた。薄暗くて汚い空港だったって。母さんは若い頃インドにいた事があるらしい。 「ミト、ミト、会いたかったよ。」 空港のロビーにハジメがいた。成田みたいに広くなくて良かった。ハジメがすぐに見つけてくれたから。ハジメの首に抱きつく。  これだ、僕が欲しかったのはこのたくましい首。背伸びをして両手でしがみつく。 「お金をルピーに両替しなくちゃいけないんでしょ?あと何だっけ、やる事あるよね。」  ハジメは僕を抱きしめて離さない。ハジメの大きな手につかまって、もう大丈夫だ、と安心した。緊張してたことに今気付いた。  ハジメの仕事はバラナシ。ガンジス川の流れてる所。そこへ行く前に僕たちはコルカタで一晩泊まる事になった。乗り継ぎのちょうどいい列車がないんだ。 「初めてインドに入るならコルカタはちょっとインパクトが大きいな。ごちゃごちゃした所だ。ミト大丈夫か?」  空港からタクシーで1時間位走ってコルカタの繁華街に着いた。  駅で明日のバラナシ行きの切符を買う。切符売り場では明日のバラナシ行きはソールドアウト、売り切れだと言われたけどハジメがドル紙幣を出したら買えた。インド人はしたたかだ。  ハジメがヒンディー語を話せるから怖くなかった。コルカタはウルドゥー語なんだって、後から聞いたけど。ハジメはそれも話せるらしい。インドは多言語。公用語は英語、かな?ハジメはスペイン語も話す。凄い!

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