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第78話 3人と1人
「ハジメはロジャー先生に抱かれるの?」
そんな事を聞くタカヒロに、困ってしまう。
優しく抱き寄せて髪を撫でる。
「タカヒロはそんな事聞く奴だったのかい?
東京に恋人はいないのか?」
「遊ぶセフレは何人かいるけど、誰も好きじゃない。ハジメみたいには好きになれない。
ハジメと離れたくない。」
泣きそうな顔でいうタカヒロが可愛く思えるが、ミトの可愛らしさとは違う。
ミトと二人でインド、ネパールを周った時を思い出す。二人だけのハネムーン。思い出しても心が弾む。ミトは可愛い。ロジと分け合って満足している今の暮らしを変えるのは嫌だ。
「ごめんな、タカヒロ。こんな所で出会ったんだ。長く続く訳じゃないのはわかってただろ。
帰ってきたら仕事の合間にまた遊ぼう。
月曜の朝には戻るよ。」
「ハジメ。」
(なんかおかしな事になってしまった。タカヒロを傷付けたくないが。)
イヴォークを発車させようとして、バックミラーにタカヒロの泣きそうな顔が見えた。
エンジンを止めた。このまま置いて行けない気がした。
「タカヒロも来るか?俺たちの家。」
寂しそうな顔がパッと輝いた。
「行ってもいいの?
すぐ支度するから5分待って。」
嬉しそうなタカヒロの顔を見て、ハジメはこれで良かったのか?と一瞬迷った。
急いで戻ってきたタカヒロに
「言ってなかったけど、うちにはもう一人、一緒に住んでる子がいるんだ。
3人で暮らしてる。元々ロジャーの家なんだけどね。」
「住んでる子って?子供?」
違うよ。もう26才になる。タカヒロはいくつだ?」
「オレ,22才。」
「おまえの方が年下か?ミトは幼い感じだな。」
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