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第128話 ミトとタカ
「ねぇ、僕、小鉄に撮ってもらいたい。緊張しないでいられそう。」
「俺なんかが一緒に写っていいの?」
「面白いよ。陰でコソコソ悪口を広めてる輩に開き直ってやろう。」
ミトとタカ、ロジとハジメ、そして小鉄、5人で撮影の内容を話し合った。小鉄は趣味で一眼レフカメラを扱うという。
「なんか、ストーリーっぽいのやってみる?
スチール写真の連続で物語風に。」
「ラブシーンって言ってもソフトなやつだよ。
エッチは無し。」
ミトとタカはそんな仲ではない。プラトニックな感じで行こう、という事になった。
・・二人で庭でアイスティーを飲んでいる。
"ベルガモットのささやき"というアイスオレンジティー。九十九里の友達、サブと亮から教えてもらった。アールグレイの水出し紅茶にオレンジジュースを割ったものだ。少し甘めのアイスティー。
晴れた日の庭のテーブルでキラキラ光る日差しの中、幸せそうな二人が笑っている。
手を繋いで裸足になって芝生の上を歩く。
カメラはローアングルから二人の足首を写している。だんだん上にあがって手を繋いでるのがわかる。もっと上にあがって、背の高いタカヒロに、少しだけ背伸びをしてミトが口づける。小鳥のように一瞬だった。
また見つめ合ってカメラはフェードアウトして行く。短いシーンに可愛いカップルが凝縮されている。・・
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