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第162話 犯人
ミトも一回鞭を受けた事がある、あのマッチョなボンデージのサドの王。怖かったのを思い出していた。
「僕が鞭の傷をもらったレイモンさん。ハジメも傷痕見たでしょ、間違えて打たれた。」
「尊が犯人ではないと思って辿ったら山田友也という学生にたどり着いた。
物理学を専攻して、今は研究室にいる優秀な学生なんだよ。」
誹謗中傷でネットは祭りになっていた。みんな面白がっている。尊の話では
「山田は多分ゲイなんだと思う。
ロジ先生の事を、根掘り葉掘り聞かれたことがあるんだ。ロジ先生は自分の事はオープンに話すけど、誰でも相手にしてくれるわけじゃないでしょ。山田はロジ先生に憧れてたんだと思うよ。」
山田の願望が、あり得ない事実を捏造し、そのパートナーのミトにまで広がって、嫌な話が事実のように語られた。そこにミトのポスターが話題になって、彼の嫉妬心を、益々煽ったのだろう。ミトの美しさが火に油を注ぐ事になったのか。
「ポスター見て、僕とタカが狙われたかもしれない。世の中に出るって怖い事だね。」
もう目立つ仕事はしたくない、とミトは心からそう思った。
ミトとタカのポスターは相変わらず盗まれたりしている。ミトの顔がデフォルメされた様々な商品も飛ぶように売れているらしい。
「僕の顔のパッケージのチョコレートとか、なんだか嫌だな。勝手に作ってるの?」
「ああ、サー・リチャーズ商会が窓口になってる分は野放し状態だったから、キチンとするって小鉄が怒ってたんだ。私達は呑気だったなぁ。」
ロジが反省している。
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