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第210話 友也といずみちゃん

 スーパーのレジにいずみちゃんは、いた。 (真面目に働いているんだな。) 「友也、もうすぐ終わるから。 あと30分。待ってて。」 「うん、ブランコの所で待ってるよ。」  スーパーの隣の花屋さんで小さな花束を買った。最初に手に取った店先にある花束は、店員さんに 「それ、仏壇用の仏花だけど、いいの?」 と聞かれて 「え?知らなかった。 なんか女の子にあげたいんだけど。」 と言ったら作ってくれた可愛い花束。 人に花をあげるなんて初めてだった。  友也はいずみちゃんにプロポーズするつもりなのだ。指輪とかは買えないから、取り敢えず花を買った。  いずみちゃんが公園に走って来た。 「危ないよ!今は大事な時でしょ。転んじゃダメだろ。」 大声で叫んだ。 「あはは、友也、アタシ生理来ちゃった。」 それでも友也はプロポーズする気持ちを抑えられなかった。 「これ、あげる。いずみちゃん、僕と結婚してください。」 「ええっ? もう妊娠して無かったんだから、無理して結婚なんて、いいよ。 お花、可愛いから貰っておくね。ありがと。」 「違うよ。ホントに僕と結婚して欲しいんだ。」 いずみちゃんが抱きついて来た。 (あったかくて、柔らかくて、いい匂いがする。 いずみちゃんはいいなぁ。ずっと一緒にいたい。) 友也は心を決めたら、本当に結婚したかった事に気付いた。

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