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第209話 友也
「子供が出来るような事をしたのは僕だから、責任を取らなければ、と思うんです。」
「それで気の進まない結婚を決意したのか?」
ロジは自分の結婚が破綻した時の事を思い出した。結婚は、無理をしても続かない。
「もう一度、友也とその相手の気持ちを確かめた方がいいぞ。心を込めて確かめ合った方がいい。
友也はその人を愛しているのか?義務では続かない。きちんと愛を確かめなさい。」
尊が来てハグしてくれた。アカウントを乗っ取った事もまだ謝っていないのに。
「尊、ごめん。」
涙が出て来て話が続かない。
「友也ともっと友達になりたいよ。いつでも連絡して。一人じゃないよ。」
「・・うん、、帰ります。」
下を向くと涙が溢れる。挨拶もそこそこに帰って来た。
何故か、いずみちゃんに会いたかった。
煩わしく思っていたのに、つらい時は彼女の笑顔が浮かぶ。
(僕は、いずみちゃんが好きなんだ。
子供が出来た、とかじゃなくても、何かあるといずみちゃんの所に行きたくなる。僕にはいずみちゃんが必要なんだ。)
自分が頼りたい時だけ思い出す。友也はズルい自分に気付いた。
(いつもそうだ。僕が考えなしに勝手な事をしても、誰かが助けてくれる、と甘えて生きて来た。
みんな、どうしてそんなに優しいの?)
涙が止まらない。いずみちゃんが愛しくて会いたくなった。
(子供が出来た、とか以前に僕はいずみちゃんが必要なんだ。いずみちゃんが好きだ、)
初めて自覚した。
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