「ああ、そうだな。でも一度手を離れたら、どんな扱いも防げない。気にしないことだ。」 「気軽に捨ててしまう部分には顔を使わせないのが賢明ですね。」 「今日は小鉄が来てないから、また改めて権利関係のことを詰めて貰いたい。」 　同人誌の写真集なら普通はそんなに売れないし、問題も起こらないはずだ。しかしミトたちは常軌を逸した注目を集めてしまった過去がある。 　國士のアドバイスで小鉄が新しい事務所の社長になった。ミトとタカの個人事務所。 タカは 「でもオレはちゃんとした仕事がしたいんだ。 大学にも戻って、将来は博物館の研究員になりたい。タレントみたいな仕事がしたいんじゃないんだ。」 ハジメがタカを膝に乗せて抱きしめた。 「タカはかっこいいな。俺もちゃんとしよう。 タカを嫁にするんだから。」 タカはハジメを見つめて真っ赤になった。 　一方、尊のアカウントを乗っ取って、陰険な嫌がらせをネットに書き込んでいた山田友也は、なんとロジが身元引受人として責任を負う形で、厳重注意で釈放された。ロジは被害届を出さなかった。物理学教室に必要な人間だ、という判断だった。 「ネットに書き込んで面白かったか？ また、やるのか？ 山田の物理の持論を、私は支持していたのだよ。 これからも研究を続けて貰いたい。 大学に戻って来いよ。待ってるぞ。」 　ロジの寛大な言葉をどう受け取ったのか。 うなだれて 「先生には感謝しています。 でも誰も僕の本当の気持ちをわかる人はいないと思います。ご迷惑をおかけしました。」 　しおらしい態度だった。 (もう大丈夫だろうか？寂しい奴なのか？) ロジはまだ、危惧している。