…ロジがミトと出会った頃の事だ。東京での講演会。その頃はまだ結婚していなかった秘書のサリナの運転でマイバッハで出かけた。 　講演会のテーマはミトも興味のある、 「量子物理学のゼロポイントフィールド仮説と古代インド哲学アーカーシャとの類似と比較」 というものだった。その打ち上げパーティで大学関係の人々に紹介されたのだ。 「皆さん、私のパートナー、五十嵐ミトです。 この前、二人きりで結婚しました。　 　日本の法制化はまだまだですが、結婚の気持ちは変わりません。」 ロジが宣言してくれたのだ。 　その夜、東京のインペリアルホテルで、初めてミトはロジの大きな男根を受け入れたのだった。 サリナと國士も、結婚を決意した記念すべき夜だった。… 　ミトがこんなに近い所にいたなんて。灯台下暗しってわけだ。ロジ先生は何事も隠さないから。 「すごいね。ロジ先生は、教授で、資産家で、イケメンで、何でも持ってる。」 「確かバツイチだっけ？」 「おじいさんはサーの称号のあるイギリス貴族だし、紅茶のサーリチャーズ商会もやってるんでしょ。」 人の噂は千里を走る。瞬く間に学内では知らない人はいない情報になった。