181 / 240
第181話 ロジが証言
友也はネットでは、ミトとその周りの人間がいかに堕落しているか、いつも力説してきた。それに賛同する連中がいる。
「同棲愛者は国を滅ぼす。男のくせに身体を見せびらかす宣伝も厳しく取り締まるべきだ。」
ネトウヨのそんな意見。思わぬ所でミトをディスる意見が増えてきた。
(ミトが追い詰められて困った時は、僕の出番だ。助けに行くよ。僕だけのミト。)
勝手な思い込みはどんどん膨らむ。友也はミトが好きなのか,嫌いなのか、自分でもわからなくなっていた。
尊のアカウントを乗っ取って勝手な書き込みをしていることが、遂にたどられてしまった。警察には特定する権限があるらしい。まず、尊が呼ばれて厳しい事情聴取をされた。
次に尊の事を知るロジャー五十嵐が参考人として呼ばれた。
ロジャー先生は落ち着きのあるどっしりした態度で終始、尊を信じた。
「大体、こんなに簡単にたどれる人間が、書き込みをした犯人とは思えない。あまりにも幼稚だ。
尊とうちのミトは以前からの友人なんだ。尊の面倒を見ている沼田レイモン氏に訊いて見てくれ。尊は頭のいい学生だし、あらゆる事に用意周到な奴だ。簡単に乗っ取られる研究用のパソコンにプライベートなことを書いたり、漏出させたりはしないはずだ。」
沼田レイモンも事情を訊かれた。
レイモンはサドの王と言われているが本業は著名な作家である。警察にもよく知られている。
サディズムをテーマにした耽美的な小説を書いて、根強い人気を誇る。
ともだちにシェアしよう!