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第32話 ジロウ※
「…条件をつけるからな。そんな簡単にクミコになんか渡せないっつうの!」
問題はこちらである。
クミコの家に行くため、バッグに必要なものを入れ準備をしているリロンに伝える。
グチグチとジロウが文句を言っても、特に響かないらしく、リロンはマイペースに準備を進めている。
「よっと…こんなもんかな〜。元々、俺の荷物は少なかったし。引っ越しの時は教えて?手伝うからさ」
荷物は少ないとはいえ、最初に来た時よりバッグはパンパンになっていた。
「なぁ…リロン。俺、やっぱりヤダ…」
ジロウはリロンをベッドにドサっと押し倒して、上から覆い被さった。
「もう、まだ言ってんの?別にずっと離れるわけじゃないんだし…」
リロンの方からチュッとキスをされた。駄々を捏ねてる俺を宥めているようだ。
ウザい自覚はあるが、嫌なものはイヤなんだ。仕方ないだろう。
「ジロウさんはこれからめちゃくちゃ忙しくなるだろ?ひとりの方が動きやすいって。それに、さっきまではカッコよく武蔵さんに言ってたじゃん!これからの構想のこと。フィエロがWシェフになるなんて驚いたよ。でも、確かにそれが出来たらジロウさんも少し余裕が出るよね」
「…今は余裕出ない」
あははと、笑いながらギュッとリロンに抱きしめられる。拗ねているなんてカッコ悪いことだとわかっているが、感情が抑えられない。
「明日…何時?」
「えーっとね、クミコさんのお迎えが朝9時に来るらしいよ」
携帯を見ながらリロンは答えている。クミコと連絡先を交換したと知った時は「いつの間に!」と驚いたが、クミコの本気具合も伝わってきた。どうしてもリロンと過ごしたい何かがあるらしい。
「はやっ!早朝じゃん!何でそんなに朝早いんだよ。俺の時間がないじゃん」
「なに…俺の時間って。ジロウさんだって明日から朝も夜も忙しいだろ?しっかりしろよ!」
何か腹を括ったようなリロンに、激励されている。確かに、3ヶ月なんてあっという間だろう。時間は有効に使いたいところだ。
「じゃあさ、今から俺に時間くれ」
「ははは、いいよ?ほら、いくらでも」
下からリロンに抱きしめられる。
頼もしい。
左の脇腹にかかったTシャツをたくし上げた。さらっとしたリロンの肌の感触が手に広がる。腹から胸に手を這わせて、そのままTシャツを脱がせた。
全身にキスをするのが好きだ。リロンは、くすぐったいからほどほどにして欲しいと言うが、この肌の全てを自分のものにしたくてやめられない。
腹から胸にかけてキスをしていく。自分の唇に吸い付くようなリロンの肌を赤くしたい欲望が出てくる。
「ジロウさん?跡付けないでよ?」
返事はしないでおこう。
うん、なんて返事も出来ないし、ヤダ、なんて返事はカッコ悪い。
「また…そこばっかり」
「いいだろ…ここ好きなんだ」
顎の下にキスをした。リロンのここはエロくて好きだ。
俺が作るものを美味そうに食べると、リロンの顎も喉の皮膚も美味そうに動く。
最近はずっとジロウが作るものだけで過ごしてるから、リロンの薄い皮膚の下は、俺が作っていると思うとゾクゾクとすると、ジロウは唇でそこをなぞる。食事中もよくこの場所を見つめていた。
「ああっ…ジロウさん、」
食事中を思い出したら興奮してしまい、強くキスをしてしまった。リロンの声に更に興奮してしまう。
ああ、このままずっとこうしていたいと強く願ってしまう。明日なんて来なくていいって思ってしまう。
ジェルを手のひらに広げてから、リロンの孔にも指を使って塗っていく。もう何度も身体を繋げているので、やり方もスムーズになってきている。
だけど、何度やってもリロンの身体に興奮してしまう。しなやかに動くリロンの身体が、いやらしく魅力的だと感じる。
指を数本リロンの中に入れて、入り口から少し奥のところを刺激するとリロンの声が変わるのも知っている。その声が聞きたくて何度もしつこく、そこばっかり狙った。
「ああっ…達きそうになっちゃうっ…んん、押さないで…」
「だってここだろ?気持ちいいのは」
「やぁだって…ひとりで達くのはイヤだもん。知ってるだろ?…入れて、ジロウさん。後ろから…」
言葉は嫌いだと言っていたリロンだが、セックス中は欲望に忠実で、言葉でお願いをしてくる。
後ろからして欲しいと。
珍しい。
後ろからする時、ジロウがリロンの腰を強く掴むから、それに興奮するとリロンは言うが、いつもはジロウの身体を見てヤリたいと言っていた。
リロンを後ろ向きにし、四つん這いにさせる。尻だけが高く突き上げている姿は、本当に官能的である。
「うーん、エロい」
「…エロいって言うな」
両手で尻を鷲掴みにし、左右に広げると孔がヒクヒクと動いているのが見えた。さっきジロウの指を何本も咥えたところだ。
今からここにぶち込むのかと、わかっているが興奮してしまう。
ジェルを大量に塗り、自身のペニスをリロンの後ろの孔に当てると、更にピクピクと尻も孔も動かしている。
ぐちゃぐちゃとペニスを尻と孔に擦りつけた。ジェルと先走りが合わさった水音がする。
グッとペニスを押し付けると、ぷくっと先端が沈み込んでいった。ペニスの先端を入れる時は、いつも苦しいらしい。
「苦しい?大丈夫?リロン」
「うん、、平気、そのまま入れて」
尻を鷲掴みしているが、ゆっくり腰を押し進める。ゴムを付けるとリロンは痛がるので、いつも付けずにしている。ジェルはベッドに垂れるくらい多く使っているから、リロンの尻を通りベッドに滴り落ちている。
「やあ、あ、あっ…はぁぁんっ…き、もちいい…」
奥までズクッと腰を入れた。その後、小刻みに動かすとコリコリとリロンの中に当たる場所があるのがわかる。
「や、や、ジロウ…さん、早く動いて」
お尻をフリフリと動かしてリロンが強請っている。いつもより大胆だ。リロンの興奮がジロウにも伝わってきていた。
明日から離れてしまうから、今日出来ることをと急いでしまう。
だから二人とも余計に興奮してしまう。
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