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「くうぅ〜……っ聖なるオリゾン川の神々に感謝しますん! パリパリ!」
一斉が休めの姿勢で背中で腕を組みスッと軽く頭を下げると、いただきますらしい言葉を並べたネバルは、スプーン片手にグラスへ飛びついた。
ゴクゴクとソーダを飲み、パクパクとアイスクリームを食す。チェリーは最後に取っておく派か。
「プッハ〜! あ〜ッこれマジにスゲェなん! 酒でもねェのにパチパチシュワシュワ癖になるん。ボク様こういう刺激的なモンに目がねェのよん」
ニコニコとご機嫌なネバル。
刺激に目がないらしい。
言われてみると、この世界の飲み物について調べようとキッチンを漁った時、酒以外にシュワシュワする飲み物はなかった。炭酸飲料は珍しいようだ。よし、立仲喫茶のメニューに加えよう。
すると、座っているので高さ的にそうなったのだろう。
「あ……?」
「な、サテン。テメェボク様と組まん? 量産して売ったら絶対ェ儲かるねん。希少な高級品として道楽な金持ちに売りつけりゃあ大金稼げるのん!」
休めの姿勢のまま脳内メニューに一品書き加える一斉の尻を、ご機嫌なネバルがパシコン! と叩いて呼んだ。
どうでもいいが口元にクリームがついているぞ。話が終わったらペロリと舐め取ってやろう。
「テメェが気に入ったんだよん! 白禍の奴隷なんてもったいねェん!」
「や、違ぇ。なんで」
「あ〜? まァ一番はこれ作れるトコだけど、個人的にも面白ェなん。バリバリ武闘派面してローテンションだったり、不法侵入者に動揺せず真顔でライト突きつけてくるとこだったり。あと普通にもてなされたのん。爆笑なん。そら気に入るだろがい」
「いやわかんねぇけど……組まねぇよ、俺は」
「まぁまぁ聞け聞け。ボク様こう見えてだァいぶ稼いでるん。お偉方の弱みもあちこち握ってるし、万が一でも一安心。販売ルートもバッチコイ。なによりメロンクリームソーダは売れるぜぃ! このボク様が気に入ってンだ、間違いねェよん!」
「そうじゃなくてよ……」
「ふむ。そんなにメロンクリームソーダが気に入ったのか?」
「まぁな〜ん!」
「そうか。雷を操るギュムトゥス族だ、弾けるソーダを気に入るのは無理もないだろう。……だが子猫を盗もうとは感心せんな、義流怪盗」
「へっ? ぐえっ……!」
話が終わったら。
そう──主の話が終わったら。
一斉は子猫のように首根っこを引っ掴まれて唇が届かない高さまで持ち上げられたネバルの口元へ腕を伸ばし、付着していたアイスクリームを指先ですくう。
「……俺は好きで、飼われてっから」
その指をペロリと舐めて、舌を出したまま肩を竦めた。
[メロンクリームソーダ]
クリームソーダのリーダー。レモン、オレンジ、ブルーキュラソーを圧倒的カリスマで導くソーダ戦隊のまとめ役。ホイップクリームに揺らいだ頃もあったが、今は妻のアイスクリーム一筋。近年添えられ始めたチェリーは娘。ネバルのお気に入り。
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