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十分ほどすると神宮寺が来た。昨日ここへ来たときにいた男も一緒だった。
「おはよう。眠れたか?」
「あ、はい。なんとか」
寝付きは悪かったけれど、寝ついてからはぐっすりと眠れた。昨日起きたことを考えるとよく寝れたな、と思わなくもないけれど今日動かなきゃいけないことを考えたら短時間でもぐっすり眠れたのは良かった。
「会社には連絡したのか?」
「はい。少し前に」
「そうか。それなら行くぞ」
そう言って玄関を出て、昨日乗った専用エレベーターに乗る。すぐに開くエレベーターはストレスがない。
寝室やリビングダイニングから見ていた通り、今日も快晴でとても気持ちがいい。歩くのはちょうどいいだろう。用事が終わったら散歩をするのもいいかもしれない。
神宮寺が先頭を歩き、直生はその左斜め後ろを歩き、昨日からついている男が右斜め後ろを歩き、神宮寺を守るようにしている。実際、護衛のようなものなのだろう。
直生は道を覚えるために、周囲に目をやりながら歩く。周りのマンションは一様にのっぽで、うっかりしていると違うマンションに入ってしまいそうだ。
周囲に気を配りながら、右、左と角を曲がり、その度に直生は目印となるものを見つけ、歩を進める。そして数分歩くと、見知った道へと出た。
「あ! ここからならわかります」
昨日、車でマンションへ行ったときはもっと遠く感じたけれど、狭い道もあったから一方通行や通れない道もあったのだろう。
とにかく、普段ネオン街からアパートへ行く途中の道へ出たので、そこからネオン街への道は毎日通っていたので問題がない。アパートと意外と近いようだ。
「ここからならわかるか」
「あ、はい。ここから右へ行ったのがアパートだったので、ここからならわかります」
「ここからマンションまでは大丈夫か? 一度歩くか?」
「いえ、道を覚えるのは比較的得意なので、多分大丈夫だと思います。目印しっかり覚えているので。忙しいのに、ありがとうございました」
「いや、構わない。道を忘れるな。連絡を貰ってもすぐに来れるとは限らないから。それと鍵は絶対に忘れるなよ」
「はい。気をつけます」
「もし何かあったら、昨日交換した連絡先に連絡しろ。もし出なかったらメッセージを残しておいてくれれば、後でこちらから連絡する。それと、ネオン街は気をつけろよ」
「はい」
そして直生と神宮寺はそこで別れ、直生はいつものようにネオン街を通り駅まで向かった。
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