43 / 46

エピローグ

*** ――十年後。 「ただいま〜」  いかつい男たちの中を通り、子供が走って入ってくる。  神宮寺廉。都内の名門私立小学校の三年生だ。 「おかえり」  一目散にキッチンに入ってきた廉に気づくと、直生は声をかける。  キッチンでは神宮寺がホットケーキを焼き、直生はそれをカウンターで見ている。 「もうおやつできるから、手洗いうがいして、ランドセル置いておいで」 「は〜い!」  廉は急いで手洗いうがいを済ませると二階にあがり、ランドセルを置くと制服をハンガーにかけ、私服に着替える。そして転がるように階下へ降り、キッチンに飛び込む。 「今日のおやつ何?」 「今日はホットケーキだよ」  神宮寺がそう告げると廉は喜ぶ。ホットケーキは廉の好物だ。 「やった! チョコシロップ出さなきゃ!」 「メープルシロップも出して」 「は〜い」  焼き立てのホットケーキ。  穏やかに笑う神宮寺。  そして、元気な子供。  ずっと一人で生きていくと思っていた直生に訪れた幸せ。この幸せがずっと続けばいい、と直生は思った。  END ◇◇◇◇◇◇ 最後までお読みいただき、ありがとうございました。 モダモダとしましたが、最後は直生も自分の気持ちに向き合え、神宮寺とも向き合うことができました。 その間、散々じらしましたがw 最後に少しデロ甘を目指したのですが、なっていますでしょうか? 明日からは番外編を少し書いていきますので、引き続きお楽しみください。

ともだちにシェアしよう!