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エピローグ
***
――十年後。
「ただいま〜」
いかつい男たちの中を通り、子供が走って入ってくる。
神宮寺廉。都内の名門私立小学校の三年生だ。
「おかえり」
一目散にキッチンに入ってきた廉に気づくと、直生は声をかける。
キッチンでは神宮寺がホットケーキを焼き、直生はそれをカウンターで見ている。
「もうおやつできるから、手洗いうがいして、ランドセル置いておいで」
「は〜い!」
廉は急いで手洗いうがいを済ませると二階にあがり、ランドセルを置くと制服をハンガーにかけ、私服に着替える。そして転がるように階下へ降り、キッチンに飛び込む。
「今日のおやつ何?」
「今日はホットケーキだよ」
神宮寺がそう告げると廉は喜ぶ。ホットケーキは廉の好物だ。
「やった! チョコシロップ出さなきゃ!」
「メープルシロップも出して」
「は〜い」
焼き立てのホットケーキ。
穏やかに笑う神宮寺。
そして、元気な子供。
ずっと一人で生きていくと思っていた直生に訪れた幸せ。この幸せがずっと続けばいい、と直生は思った。
END
◇◇◇◇◇◇
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
モダモダとしましたが、最後は直生も自分の気持ちに向き合え、神宮寺とも向き合うことができました。
その間、散々じらしましたがw
最後に少しデロ甘を目指したのですが、なっていますでしょうか?
明日からは番外編を少し書いていきますので、引き続きお楽しみください。
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