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しー先輩とむーの出会い
見られてるー
めちゃくちゃ視線を感じる。
誰だろう?
新入生歓迎コンサートの最中、ボーカルの牟呂雫 は歌いながら強い視線とにぎやかな明るい声の1年生に気づき、時折その彼に視線を送った。
視線がかち合うたび、しーせんぱーいと大声で叫ぶそいつはその髪色で病院実習に行く気なの?ってくらいのド金髪でキラキラ輝く右耳だけのイヤリングをしていてそれがやけに目についた。
そいつの視線がやたらと気になり、歌いきれるか心配したがアンコール曲まで終わりホっと胸を撫でおろしながら舞台裏に下がるとそいつは立ち入り禁止区域のはずなのに出入り口の前を陣取っていた。
「えーっと…」
「どーします?リーダー」
「こんな、出待ち?みたいなことするヤツの登場は初だからどーもこーも」
「てか、マイペースすぎでしょ」
メンバー同士、目を合わせ対応に困っているとそいつは口を開いた
「先輩さん方、おつかれさんですっ。あんたらめっちゃかっこよかったで!!
特にボーカルの牟呂雫先輩っ。もう抱かれてもええくらい好みや!」
異常に高いテンションに牟呂はついていけず、目をぱちくりし
「な?何言って…。抱かれ…って…きみ、男子だよね?俺には男子に見えるけど、、聞くけど初対面だよね?俺ら」
「牟呂の言う通りはじめて会った男子だと思うよ、そいつ。しかし、コンサート中ずっと牟呂に熱い視線送ってたよな?」
「そうそう。しー先輩コールのすごいこと。雫のファンなの?きみ」
「雫がカッコいいのは分かるけどきみ、テンション高すぎっしょ?」
仲間たちの同調する声に牟呂は安心して頷き、目の前の青年を上から下まで見るとふぅとひと息つき
「えと、応援ありがと?でも、ここは関係者以外立ち入り禁止…」
「ええやん?もうすぐ俺、関係者やし」
「はぁ?てか、おまえ誰よ?オレは一応このバンドのリーダーだけど、初耳」
「誰って、まだ名乗ってませんもん。はじめましてやし、あんたらが俺の名前知っとったらビビってまうわ。俺は周防 。周防雅宗 って言いますねん。サークル入部希望やからよろしゅうしてください」
ずうずうしい周防の態度に一同は面食らった。
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