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第8話

放課後 校門前 ホームルームが終わり蓮くんと一緒に待ち合わせの校門まで行くと先に来ていた旭くんがこちらを見つけて手を上げた 「旭くんお待たせ!」 「いや、俺も今ついたとこだ」 「んふふ。待ち合わせのテンプレセリフだね」 「あ?別にいいだろ」 「ダメなんて言ってないじゃーん。 青春っぽくていいねー。」 「僕もいいと思う!」 「まひろんテンションあがってるね〜。 よっし!じゃあしゅっぱーつ!!」 蓮くんは道案内よろしくねーと言って先に歩き出した。 雑誌を開き昼休みにチェックをつけた場所を探す 「えっとまずは…」 「この店、だったよな」 「うん!」 ここだろとマップを指差してくれた 抹茶の専門店。ここのジェラートが美味しいらしいのだ 目的地も確認でき歩き出すと スマホを持った手とは反対側の手を掴まれた 「旭くん?」 「ん?」 朝のこともあってなんだか過保護になっている気がするけど… なんだか今日1日で蓮くんにも何回か手を引かれることがあったので自然と慣れてきた 2人もこれが当然みたいな顔してるし 善意からやってくれてることだと思うと断るのもなと思ってしまう 「ううん。なんでもない。ありがとう」 「気にすんな」 旭くんに手を引かれ蓮くんの後を追う 手を繋いでいるのを見た蓮くんがずるいとかオレもとか騒ぎ出したが、生憎スマホで片方が塞がっていたので次はオレだからねと渋々引き下がっていった しばらく歩いて商店街にある目的のお店 抹茶のジェラートを頼んだ 濃さが選べるとのことだったので3人別々のもの 一番濃いものを旭くん スタンダードなものを僕 抹茶軽めのものを蓮くんが まずはそれぞれ一口いただく 「ん!美味しい!普通のでも結構濃い気がする」 「オレのも食べやすい感じになってるね。しっかり抹茶ー!って感じはするけど」 「んん゛っ、、にげぇ」 「旭くん?!大丈夫?」 「んははは!!旭!ひどい顔!!」 急に旭くんが咽せ出した 端正な顔が顰めっ面になっている かなり苦かったみたいだ 「ん、んん…あぁ、油断してた。苦いけど、これはこれでうまいな。 てかテメェはいつまで笑ってんだ」 「ふ、ふふふ。ごめんごめん。急にすっごい顔するからさ。」 「じゃあ、てめぇも食ってみろ!」 旭くんがスプーンで掬ったジェラートを笑っている蓮くんの口に突っ込んだ 「んぐっ!? ぶふぉっ! んん〜にがいぃぃ」 「ふはっ。ひでぇ顔」 「あはは、2人ともすごい顔だよ」 2人とも楽しそう 一緒にきてよかったと笑っていたら 旭くんが僕の方にもジェラートの乗ったスプーンを持ってきた 「ほら、真紘も食ってみろ」 そう言われて一口もらう 「んふっ!?ほ、ほんとだ。苦い、けど美味しいね」 2人と同じように咽せてしまった お互いの顰めっ面を見て笑い出す 「ふふ、あ、旭くんこっちも食べてみて」 「え、あ、、おう」 今度は自分のジェラートを旭くんに差し出す 少しためらっているように見えたが 口を開けてくれたのでスプーンを持っていく 「…ん うまいな。こっちは苦くない」 「ね!全然違うよね。」 「旭だけずるーい!まひろんオレもオレも〜」 あーんしてと蓮くんが口を開けてきたので一口分掬って運ぶ 「うん!美味しいね!じゃあこっちもどーぞ」 はいどーぞ、と言って一口分けてくれた これも全然違うなぁ 「3人だとこういう風にシェアできるからいいよね〜」 「うん!1人だとできないよね」 「だな」 本当に一緒に来てよかった 3人でジェラートをシェアしながら次の店に向かって歩いていく  道中商店街にある気になったアクセサリー屋や雑貨屋などにも寄ったりした アクセサリー屋で旭くんがシルバーのペンダントをじっとみていたが、どれにしようか悩んでいる蓮くんに呼ばれてどっちが似合うか話し始めた さっきの気になるのかな 「えっと、これ、だったかな」 さっきまで旭くんが見ていたペンダントを手に取る トップにひまわりの種を持って頬袋が膨らんだハムスターが刻印がされている 可愛い。こういうのが好きなのかな 「あ、そうだ。」 ペンダントを手に取ってレジに向かう 「あの、これなんですけど、プレゼント用の包装ってできますか?」 「はい!できますよ!包装紙とリボンはいかがされますか?」 そう言ってラッピングのサンプルを見せてくれた 何種類かある中でブラウンの包装紙に金色のリボンのものが目についた 「これで、お願いします」 「かしこまりました!少々お時間いただきますね!」 会計を済ませて店員さんがラッピングをはじめてくれた レジから少し離れて待っていると後ろから肩を叩かれる 「あれ?まひろんもなにか買ったの?」 「あ、蓮くん。 うん。ちょっと、ね」 後ろから声をかけられて振り返ると蓮くんが立っていた どうやら買いたいものが決まったみたいで手にはイヤリング 店内を見ると旭くんはさっきのペンダントのあったところに戻ったようだ ごめんなさい。さっき見てたやつ僕が持って行っちゃいました… 「へーちょっと意外かも。アクセサリーとかつけてるイメージないや」 「うん。つけたことないかもしれない。」 「てことは、今回もしかしてデビューだったりする?」 「あ、いや、僕のってわけじゃなくて…」 「もしかして、旭?」 そういえば、お礼がどうとかって言ってたもんねーとニコニコしている蓮くん 「気に入ってくれるといいんだけど…」 「大丈夫大丈夫。まひろんからのプレゼントとかなんでも喜ぶと思うよ?」 「そうだといいなぁ」 「絶対そうだから大丈夫だって!ちなみにオレもまひろんからの贈り物なら家宝にするよ!」 「あはは、それは大袈裟すぎるよ」 「結構本気なんだけどなー。ま、気が向いたらオレにもいいの選んでね」 そう言って会計をしにレジに向かって行った 蓮くんおしゃれだから選ぶとなると下手なものは選べないなぁ なんて考えていたらラッピングが終わったらしく店員さんに呼ばれた 手渡されたペンダントは綺麗に包まれていてプレゼントらしくなっている 「お待たせいたしました!こちらでよろしいでしょうか?」 「はい!すごく綺麗です。ありがとうございます!」 「いえ!プレゼント、喜んでもらえるといいですね」 「そう、ですね。喜んでくれると嬉しいです」 ニコッと笑った店員さんからラッピングされたペンダントを受け取る 「真紘、会計終わったのか?」 綺麗に包まれたペンダントを両手でもってじーんと感動しているとまた後ろから声をかけられた 「あ!旭くん?!う、うん!今終わったところだよ」 さっと持っていた箱を隠す 「?  そうか、俺も会計してくるから待っててくれ。外に蓮がいるから勝手にどっか行かないように見ててくれ」 「ぁ、うん!わかった!じゃあ外で待ってるね!」 カバンの内ポケットに箱をしまってお店の外にでると蓮くんがさっき買ったイヤリングをつけてスマホを見ながら位置を調整していた 「あ、見てみてまひろん!どう?似合うかな」 オレンジのガラス玉がついたイヤリングが耳元で揺れている 光が当たるとキラキラと反射してすごく綺麗だ 「うん。すごく似合ってると思う。綺麗だね。 あったかいオレンジとキラキラ光るガラスが蓮くんみたい」 元気で優しい蓮くんにはビタミンカラーが似合うと思う 一緒にいると元気分けてもらってる感じがするし 「そっか!悩んだ甲斐があったなー。ありがと! なるほどなぁ。まひろんにはそういうふうに見えてるのかぁオレ」 んふふと嬉しそうに笑う そっかぁ、似合ってるかぁといいながらイヤリングを揺らす蓮くん 少しして会計を終えた旭くんがお店から出てきた 「わりぃ、またせた。って、なんでこいつはニヤニヤしてんだ?」 気持ちわりぃと言って蓮くんを見る 「んっふふー。べつにー?なんでもなーいよー。ねーまひろーん?んふふ」 「……真紘、お前なんかしたか?」 「いや、僕は別に何も」 「はぁ、ま、いつものことか」 ほっといて次の店行くぞと言って手を引かれる 「あ!ちょっと!次はオレの番!」 「うっせ。気ぃ抜けてるのが悪い」 「えー!」 「もうスマホなくても大丈夫だから、よければこっちの手どうぞ」 目的のお店は前々から行きたいと思ってリサーチしてたところだったので、近くまでこれば地図なしでも大丈夫だし と思って空いた手を差し出す 「まひろーん!ほんっとかわいいね!じゃあこっちの手はオレがもらうね!」 両手を引かれてお店に向かって歩き出した なんか、ほんとに手を繋がれることに抵抗無くなってきてるなぁ

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