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第7話
キーンコーンカーン
〜🎵
昼休みを告げるチャイムがなった
ざわざわと教室がにわかに騒がしくなる
かくいう僕もいつも以上にこの時間が待ち遠しくて仕方がなかった
ガサガサとカバンの中からお弁当と雑誌を取り出して準備をする
「あっは、まひろん。準備早すぎない?」
前の席に座っている蓮くんが振り返って話かけてきた
「いや、なんというか、友だちと昼に待ち合わせ?とか、すごく新鮮で…」
「ずっとソワソワしてたもんね。
後ろの席から落ち着かないーってオーラがビシビシ伝わってきたからなー」
こっちまでむずむずしちゃったと笑われた
「そ、そんなに?」
わかりやすかったかな…すごい恥ずかしい
「ま、オレも楽しみで授業ほとんど聞いてなかったから。まひろんのこと言えないんだけど」
「え、蓮くんが?」
僕はまだしも蓮くんがそわそわするんだと思ってきょとんとしてしまう
「ちょっと、それどういう意味よ」
「いや、ほら、蓮くんって友だち多いし、こういうの慣れてるのかなって」
「んーーまぁ、学校で話しかけたりとかそういうのはあるけど、あんまり外で遊んだりはないんだよなー。
多分、まひろんが思ってるより交友関係広くないよ、オレ」
「そうなんだ。意外かも。」
いろんな部活に助っ人に行ったりしてるし
蓮くんの席まで話に来る人も結構いるから
交友関係広いんだろうなーと勝手に思っていた
「ま、そういうわけで、オレもちょー楽しみなわけですよ!まひろんとの放課後デート」
ニコニコしている蓮くんに
わしゃわしゃ頭を撫でられる
手、大きいなぁ
そんなに身長差ないはずなんだけど
「んー、あったかい…」
気持ち良さに目を細めて頭をぐりぐり押し付ける
「っまひろん?!……それはちょっと、反則かなぁ」
パッと蓮くんの手が離れて
両手で顔を覆った
「へ?」
「おい、誰と誰のデートだって?」
背後から声がしたと思ったらぽんぽんと頭を撫でられた
「わわっ あ、旭くん?」
「ん。またせたな
で?こいつはなんで顔隠して固まってんだ」
どうやら、手の正体は旭くんだったようで
いまだに顔を隠している蓮くんを不思議そうに見ている
「……すぅ 深呼吸深呼吸…よしっ
あれ、旭じゃん、早かったな!3人揃ったし屋上行こっか!」
ガタッと立ち上がって歩き出す蓮くん
なぜかぎこちないけれど
「あっおい。 あいつ、なんかはぐらかしやがったな
まぁいいか。真紘、俺らも行くぞ。」
「うん!」
そういうと机に出していた雑誌を脇に挟んだ旭くん
そしてなぜか空いた方の手を差し出される
「えっと?」
「あ、わるい。なんか繋がねぇといけないかと思っちまった。流石に大丈夫か」
手を引っ込めた旭くんに苦笑いされた
「さすがに、大丈夫だから…
でも、ありがとうございます」
「おう。んじゃ行くか」
席から立ち上がりお弁当を持って屋上へ向かった
「2人ともー早く来いよー!風が気持ちいいぜ」
階段を登っていくと外へ続く扉開けると
先に到着した蓮くんがフェンス近くに座って待っていた
言う通り、日和もよく爽やかな風が吹いている
「んーっ!ほんとだ。気持ちいい。」
「たしかに、いい天気だな」
両手をあげて身体伸ばす
隣で旭くんも少し伸びをしてふぅと息を吐いている
のんびり外の空気を感じていたら蓮くんに早くこいと急かされた
「久しぶりに外出た年寄りみたいなことしてないで!」
「あいつ、自分が勝手に先に行ったくせに。うるせぇな」
「まぁまぁ、場所取りしてくれてたみたいだし。」
蓮くんのところへ行き、フェンス越しの景色を見る
駅の方が見下ろせる場所だった
「ここからならもしかしたらお店も見えるかもと思ってさ」
ちょっと遠いけどと
もしかして、この場所取りのために早く行ったのかな
「ほんとだね。もしかしたら見えるかも
ありがとう。蓮くん」
「んふふーどういたしまして〜!」
「ま、お前にしちゃ気がきくことしたじゃねぇか」
「そこは、素直にありがとうって言えばいいだろ。旭かわいくなーい。ねーまひろん?」
そう言って旭くんの肩をこづく蓮くん
「かわいくなくて結構だっつの」
旭くんはいつも通り冷めた返事をしている
「あはは」
「ふふ、んははは」
「ふはっ」
3人で顔を見合わせたらなぜか笑いがこみ上げてきた
「…ふぅ それじゃ、ご飯食べながらお店探そっか」
「うん!」「おう」
雑誌を真ん中にして座り
各々お弁当を開け手を合わせる
「「「いただきます」」」
僕のお弁当のメインは唐揚げだった
昨日の夜にお弁当用も作ってくれていたみたい
「おー!まひろんのお弁当唐揚げだ!いいね」
そういう蓮くんは野菜がたっぷり挟まったサンドイッチを食べている
「蓮くんのサンドイッチも野菜が瑞々しくてすごく美味しそうだね!」
「まぁねーうち八百屋だから、野菜にはちょっとこだわりがね!」
ふふんと自慢気にしている蓮くん
「へー!実家が八百屋さんなんだ!」
そりゃ新鮮な野菜がたくさんあるわけだ
そういえば、たまにお昼一緒に食べるとき蓮くんのお弁当はいつも綺麗な野菜がたくさんだったなぁ
「そそそ。あ、ちなみにmineでも言った気がするけど旭んちは小料理屋だからお弁当も豪華よ」
「そう言えばそんなことも言ってたような。」
気になって旭くんのお弁当を見ると
焼き魚に煮物、卵焼き、おひたしなどなど和食のおかず中心に白米に合いそうなものが詰められていた
「おお!旭くんのお弁当も美味しそう!」
「別に普通だ、普通」
お弁当をまじまじとみられて恥ずかしかったのか
少し頬が赤くなっている気がする
「真紘の弁当も美味そうだな」
褒められて嬉しくなる
自分が作ったわけじゃないけど
「うん!母さんの作ってくれるご飯はいつも美味しいんだー、ふへへ」
「まひろんは本当に素直で可愛いねー。
そんなまひろんには我が家自慢のBLTサンドをあげよう」
ほら、こっちおいでとサンドイッチを差し出される
「えっ!いいの?!」
「いいよいいよー。はい、あーんしてー」
言われるがままに蓮くんの方へ身体を寄せて口をあける
「あー んっ
んん!」
トマトとレタスがものすごくシャキシャキで美味しい!燻製されたベーコンの香りもいいアクセントになっている
美味しい!
「んふふ。お気に召したようでなにより」
「すごく美味しいよ!
やっぱり野菜がすごく新鮮なんだね!」
「でしょでしょー!
まひろんは本当に餌付けのしがいがあるよ」
「え゛っ餌付け…もしかしてこれまでのも…」
確かにお昼の時に蓮くんからよくお裾分けをもらっていた、ような
まさか、餌付けだと思われていたなんて
「なーんて、半分冗談だって」
ケラケラ笑っているが
「今半分って言った!
半分は本音ってことじゃんっ!」
「あっははー、なんのことやらー」
蓮くんに抗議をするも軽く流される
「これまでのって……お前ら…毎度やってんのか、それ」
これまで黙っていた旭くんが口を開いた
そこで気がつく、いつもの調子で蓮くんの手ずから食べてしまったことに
「いや!そんなことh「そーだぜ。小動物みたいで可愛いだろー」ちょっ!蓮くん!?」
「…………真紘」
「はっ、はい?!」
何か考え込んだ様子の旭くんに名前を呼ばれる
「口、あけろ」
「え こう? んぐっ?!」
口を開けた瞬間 顎を掴まれたかと思ったら
次は口の中に卵の甘みとお出汁が広がる
どうやら卵焼きを口の中に突っ込まれたようだった
なぜ!?
いや、まぁとても美味しいんだけども
ジューシーな出汁の旨味が最高、、、もうなんでもいいや
「うまいか?」
「んっ すごく美味しい!!」
飲み込んで返事をすると満足した様子の旭くん
「えっと、じゃあ、僕も何かおかずを2人に」
「別に気にしなくていい。真紘に食べてほしくて勝手にやっただけだしな」
「そーそー!オレたちはまひろんが美味しそうに食べてるのが見れればそれでいいから」
「そ、そうなの?
でも、なんかやっぱり餌付けされてる気分…」
2人とも気にするなとは言ってるけど
なんだろう、この納得いかない感じ
むぅと考え込んでしまう
「んはは。気にしない気にしない!」
「んなことより、放課後の話しなくていいのか?」
そう言って雑誌を指差される
そうだった。まわるお店の候補を決めるために集まったんだ
「そうだね!えっと、駅周辺のお店が載ってるのは、、ここだ」
ペラペラとめくっていくと、ペンでチェックマークが書かれたページ
昨日食べたクレープ屋もあった
「おお、これまひろんが行きたいところ?」
「うん。気になったところにチェック入れてて、まだあんまり回れてないんだけど」
1人だと一度にたくさんは食べられないし…せいぜい二軒くらいで終わってしまう
「なら、真紘が気になるとこ行くか」
「さんせーい!」
「え?いいの?2人が行ってみたいところとかは」
「いいのいいの、オレたちは3人で遊び行くのが目的だから!な?旭」
「おう、まぁそういうことだ」
「2人とも…ありがとう!
あのね!ここなんだけど…」
それからお昼ご飯を食べつつ
行ってみたいお店の場所を確認してまわる順番を話し合った
1人だと入りにくかったところもあったりしてついてきてくれる2人には感謝しかない
放課後が待ち遠しい
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