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第6話
学校への道中
「そういやさ、まひろんと旭は昨日一緒に帰ったんだっけ」
「うん。そうだよ。
あっそういえば、旭くんは怪我もう大丈夫?」
「ん、あぁ。お陰様でもうなんともねぇよ。」
「そっか。それならよかったー」
「怪我?なになに旭怪我したん?」
「そうなんだよね。 昨日 突然木から落ち むぐっ?!」
こいつには言うなと旭くんの手で口を塞がれたが時すでに遅し
「ほーん。へーー。旭ったらそんなテンプレみたいな登場したのかーくすくす」
「ちっ」
「で、白衣の天使まひろんに手取り足取りやさしーく手当てしてもらった、と」
「蓮くん、それ、言い方に悪意あるよね」
「まじでこいつは…やっぱり一発殴るか」
「暴力はんたーい!!」
握り拳を作る旭くんと
きゃっきゃっと楽しそうにしている蓮くん
旭くん結構目がマジなんだけど…
「まぁ、んで、そこから2人で一緒に帰ったわけだ」
蓮くんも気が付いたのか話題を逸らした
「そ、そうだね。
そうそう、ご馳走になったクレープ美味しかったなぁ。
今度何かお礼するね」
「気にすんな、手当の礼だっつったろ。」
「いや、そういうわけには
僕にできることで何かあれば言ってほしいな。できるだけ頑張るから」
「ん、まぁ、考えとく」
そんなやりとりをしていたら蓮くんが立ち止まって。少し後ろの方にいた
「蓮くん?」
声をかけると顔を上げて肩を掴まれた
昨日からこのパターン多い気がする…
「え?!なにそれなにそれ!それって放課後デートじゃん!羨ましすぎるんだけど!なんで誘ってくれなかったの!
今度はオレも一緒に行きたい!!まひろんと食べ歩きしたい!!」
「てめぇは部活の助っ人行ってたんだろうが。あと、一緒にはいかねぇ」
「あはは、僕は一緒でも全然」
「だってさ!じゃあまひろん今度2人でデートしような!旭は来なくていいからー」
「あ゛ぁ?」
蓮くんを睨みつける旭くん
何回か見たやりとりに苦笑いする
「まぁまぁ、せっかくだし、今度は3人で行こうよ。
その方が一口交換できる種類が増えるし」ボソ
「まひろん、聞こえてるよ。」
「ふはっ」
「ぅぅ だって色々食べてみたいんだもん」
「まひろんかーわい。」
「まぁそれは同意する」
「ちょっと2人ともからかわないでよ…」
ニヤニヤしている蓮くんと真顔で頷く旭くん
絶対面白がってる…
「んんっ。てことで、けって〜い!今日の放課後は3人で食べ歩きしにいこー!」
前に出てくるりと振り返り元気よく宣言する蓮くん
「勝手に決めてんじゃねぇよ。しかも今日って急すぎるだろ。予定とかあるだろうし」
「えー、だめ?」
「えっと、僕は特に何もないから大丈夫、かな」
「いえーい!じゃぁまひろん参加でー!
旭は不参k「行く」…なんだ、予定ないんじゃん。
じゃ!今日は放課後3人でデートということで!」
「キメェ言い方すんな!」
「デートったらデートなんです〜」
「うぜぇ」
いつもの2人のやりとりが始まった
放課後に友だちと食べ歩きかぁ
「ふふ、楽しみだなぁ。駅近くのお店調べなきゃ。確か駅の裏側にも気になるお店が何軒かあったし、ちょっと離れてるけど和菓子のお店もあったような…ぶつぶつ」
最近読んだ雑誌を思い出しつつ、放課後に思いを馳せて歩いていたら
「「真紘/まひろん!!危ない!!」」
急に名前を呼ばれた
キキーッ!!
「へっ?」
ぐいっ
「わ?!」
ボフッ
腕を引っ張られて、抱き寄せられた
「……あさひ、くん?」
「…大丈夫か?」
「う、うん。大丈夫、、です。ありがとう」
「なら、よかった。」
「ふぃー旭ナイス。びっくりしたぁ」
どうやら交差点に入るところで角から出てきた自転車とぶつかりそうになってしまったらしい
全然気づかなかった…
「すっすみません!!大丈夫ですか?!?」
自転車を放り出して男の人が駆け寄ってくる
同い年か少し上くらいだろうか
「こっちは大丈夫みたいだよー。そっちは怪我とかない?」
「はっはい!!すみません!すみません!」
ペコペコと頭を下げている
「まぁまぁ、どっちも不注意だったしお互い様ってことで。いいよね?まひろん」
「あ、はい!こちらこそ申し訳なかったです。」
本当に僕のほうも不注意だったので申し訳ない…
頭を下げて謝罪する
「いや!ぼくの方こそ慌てて自転車漕いでたから…」
「いやいや、ほんとに僕も前見てなかったので…」
いやいや こちらの方が いやいやいやとお互いに謝罪合戦が始まってしまった
ぱんぱんと手を叩く音がして
「はいはい。そこまでー。というか君、急いでたみたいだけど大丈夫なの?」
見かねた蓮くんが止めてくれた
「はっ!そうでした!
ほんとにすみません!!失礼します!!」
「こちらこそすみませんでした!お気をつけて!」
男の人は慌てて自転車のところへ戻り、
交差点で注意深く左右を確認してから去っていった
後ろ姿を見送っていると肩を叩かれた
「真紘…お前まさか1人でいる時にいつもこんなんじゃねぇだろうな」
「え、あは、あはは…」
否定はできない
たまに、ほんとにたまーにある。たまにだけどね!
「…はぁ」
ため息つかれた?!
「じぁあさ。手、繋げば良くない?」
「えっ?!」「はぁ?!」
蓮くんが名案を思いついたと言って提案してきた
「いや、その方が安全かなって。首輪とリードつけるわけにもいかないしさ」
「犬扱い…」
そんなに危なっかしいわけではないつもりなんだけど…
旭くんはというと少し考え込んでから
スッと左手を差し出してきた
「……ん。」
「旭くん?え?もしかして、ほんとに手を??」
「見てないところで怪我されるよりは、こっちのがいい」
「あ、、はい…すみません」
ぐうの音もでない
差し出された手を掴むとぎゅっと握りしめられる
「じゃあ、オレは左手担当ってことでー!」
ご機嫌な蓮くんがあいていた左手を掴んだ
「うぅ…」
完全にフラフラどっかにいっちゃう子ども扱いされてる…
恥ずかしさで下を向きつつ
残りの通学路を2人に引っ張られて行った
校門をくぐり、昇降口について、上履きに履き替えた後も2人にしっかりと手を掴まれていた
少し早めに家を出たのだけれど、3人で話しながら歩いていたからかいつもより到着が遅くなっていたらしい
チラホラと生徒がいて視線が痛い…
「あの、2人とも…」
「ん?」「なーに?」
「そろそろ、手を離していただいてもよろしいでしょうか…流石に学校の中なら大丈夫だから」
「あ、おお。そうだな。わりぃ」
パッと離してくれた旭くんと
「あの、蓮くん?」
なぜかより強く握ってきた蓮くん
「んふふー。オレはまひろんを無事教室まで連れて行くというミッションがあるのでこのままで!」
「はぁ?!」「え」
「ということで!レッツゴー!!」
「ちょっ!蓮くん?!」
蓮くんが走り出したのでそれに引っ張られて僕も早足になる
「あってめぇ!蓮!待ちやがれ!!」
「やーだねー!昨日まひろん独り占めしたんでしょー!オレにも癒しが必要なんですー!それに旭はクラス違うから階も違うじゃん!ここから先はオレに任せてもろて」
じゃあねーと言って教室の方へと向かっていく
「わっ蓮くんあんまり早く走らないでっ
あ、旭くん!また昼休みに!!」
空いた方の手を振って、旭くんと一旦お別れをする
「ちっ……はぁ。蓮、怪我させんなよ!
真紘、昼休み教室まで行くから待ってろよ!」
「うん!」
「オレも待ってるねー」
「お前は別にいなくてもいい」
「ぶーぶー!」
朝の雑誌チェックの時間は取れなかったけど、お昼に一緒に食べ歩きするお店を探すことになったのでいつも以上に楽しい時間が過ごせそうな予感がする
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