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番外編 オモチャ大好き夏樹くん(1)★
「ねえねえ、隆之さんってこーゆーの使ったことある?」
とある休日の夜。夕食を済ませ、何の気なしにリビングでゆっくりしていたときのことだった。
「なんだ?」
夏樹がいそいそと持ち出してきたものを見て、隆之は首を傾げる。
ローテーブルの上に置かれた収納ボックス。その中を覗き込んだ瞬間、凄まじい衝撃が走った。
「テッテレー! 大人のオモチャあ!」
ふざけた口調で夏樹が言う。ローターに始まり、アナルバイブやアナルビーズ、ディルド、エネマグラなど――多種多様なアダルトグッズがそこには収められていた。
夏樹は反応をうかがうように、ちらちらと視線を投げかけてくる。
「ありゃ、隆之さんってば固まってるや。まさか初めて実物見たレベル?」
「……悪いか」
「アハッ、ちなみに俺は結構好きだったりすんだよねぇ」
隆之が苦々しい顔で答えると、夏樹は嬉々としてアナルバイブを手に取った。
思わずドキリとしてしまうが、頭を振ってなんとか平静を装う。
「で、急にどうしたんだ。そんなの取り出してきて」
「んー? だって、隆之さんには俺のこと好きでいてもらわなきゃ困るし、そのための努力なら惜しまねーもん」
「気持ちはありがたいが、これはどうかと――」
「じゃーん、みてみてっ! SMグッズなんかもあんよ?」
隆之が困惑する一方、夏樹は目を輝かせながら、ピンク色のファーがついた手錠を取り出した。その後も次から次へと出てくるアダルトグッズの数々に、軽く目眩を覚えてしまう。
(今に始まったことじゃないが、どこまでも性に奔放なっ……)
と、そこで隆之はハッとした。もしやと思って問いかけてみる。
「なあ、夏樹。『Oasis』にいたとき、こういった道具も使ってたのか?」
「うん。オモチャのレンタルもあったし、ソフトSMもオプションでやってたよ?」
夏樹はしれっと返してきた。
今さら過去のことを蒸し返すつもりはないが、それでも嫉妬心だけは拭えない。隆之が少しだけ複雑な気分になっていると、追い打ちをかけるかのように夏樹が口を開いた。
「今、ちょっとヤキモチ焼いたっしょ?」
言って、いやらしい笑みを浮かべながら顔を覗き込んでくる。
隆之は図星を突かれて押し黙った。
が、そのうちに居たたまれなくなって――いや、何らかのスイッチが入ったというべきか――、静かに腰を上げる。手錠を奪うなり、そのまま夏樹の手首にかけてやった。
「『ナツ』じゃなくて、『夏樹』にこんなことできるのは――俺だけだよな?」
そう口にしつつ、ソファーの上へ押し倒してしまう。
途端に夏樹の目がとろんとしたのがわかった。期待した面持ちでこちらを見上げてくる。
「……ん、隆之さんだけ。俺のこと好きなように虐めてよ」
甘えきった声で言われ、理性の糸がぷつりと切れた。
こうなれば容赦などしない。隆之はアイマスクで夏樹の目を覆い、さっさと下衣を剥ぎ取ってやった。
「ハハッ隆之さんってば大胆……俺、何されちゃうんだろ?」
視界を奪われながらも、夏樹の口元には笑みが浮かぶ。この状況を彼なりに楽しんでいるのだろう。
(くそ、完全にナメられている)
手始めにローターを手に取ると、隆之は舌を出して軽く唾液で濡らした。あえて何も言わずに夏樹の後孔に宛がい、ゆっくりと挿入していく。
「あっ、ン、お尻にローター挿れられちった……」
甘い吐息を漏らしながら、夏樹がもどかしそうに身をよじる。
すでに体内は十分ほぐされており、隆之は奥まで押し込んだところでローターのスイッチを入れてやった。くぐもった低い振動音が聞こえてくるとともに、夏樹の体が反応を示す。
「ん、あぁ……っ」
ビクビクと体を震わせる夏樹に、隆之は思わず喉を鳴らした。目隠しや拘束具といったアブノーマルなプレイをしているせいか、普段のセックスとはまた違った高揚感を感じてならない。
(こんなの目にしたら、煽られるに決まってるだろっ……)
興奮を抑えきれず、夏樹が着ていたパーカーを胸元までたくし上げる。
次いで手に取ったのはハンディータイプの電動マッサージャーだった。電源を入れ、胸のあたりを避けながら押し当てていく。
「やっ、あんま焦らさないで……よぉ」
切なげに訴えられるも、隆之は無視を決め込んだ。
乳首に触れないように乳輪の周辺を丹念になぞると、早く刺激が欲しいとばかりに夏樹が体を突き出してくる。
やがて胸の突起がぷっくりと硬くなり、その存在を主張したところで、ようやくマッサージャーを当ててやった。
「ふあっ、あ、あ、そこぉ……ブルブルしてきもちい……っ」
待ちに待った快感に、夏樹が体をのけぞらせて悦ぶ。
その反応に煽られ、隆之は体内に埋め込んでいたローターの振動を一段階強くした。同時にマッサージャーで乳首をぐりぐりと押し潰してやれば、夏樹は一際大きな声を上げて身悶える。
「あ、やっ、ああぁっ……!」
びゅるっ、と精液が吐き出されて腹部を汚していく。どうやら達してしまったらしいが、隆之は構わずに責め立て続けた。
「あっ、ああ! も、だめっ……イッてる、イッてるからあっ!」
夏樹の口からひっきりなしに嬌声が漏れる。目隠しをしているため、どのような表情をしているのかわからないのが惜しいが、普段よりも乱れているのは確かだった。
隆之の方も加虐心が湧き起こり、マッサージャーをするすると下腹部の方へ移動させていく。
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