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おまけSS 隆之さんムラムラ大作戦 ★
夏樹が久々に訪れた京極のマンション。近況報告がてら、二人で雑談に花を咲かせていた最中の出来事だった。
「そーいやお前さん、まだ風呂上がりとか裸でほっつき歩いてんのか?」
「オーナーってば最悪、最低! 謝って!」
相変わらずのデリカシーのなさだ。夏樹はムッと睨みつけたが、京極はどこ吹く風といった様子で頬杖をついている。
「へいへい、すみませんでしたね」
「もー、ンなわけねーじゃん。隆之さんが俺の裸に興奮しなくなったらどーすんの?」
「……自分で言うか」
呆れたようにため息をつかれる。一方、夏樹は気にせず続けた。
「でも正直なとこ、もっとムラムラさせたいんだよねぇ」
「は?」
「俺ね、隆之さんが余裕なくなって雄の顔になるのすげー好きでさ――カッコいいようで、簡単に煽られちゃうのちょっと可愛いみたいな? なんでも受け入れたくなっちゃうし、めちゃくちゃにされたい願望やばいんだよ! あと、マンネリとか嫌だしさあ? ウケとしてそこらへんの意識は持っておかないと、って!」
身を乗り出して一気にまくし立てるも、京極の反応は薄い。それどころか、先ほどよりも深いため息をつかれてしまった。
「お前さん、その性欲の強さどうにかしたら?」
「性欲が強いからウリやってたんですよーだ。……あ、そうだっ」
ぽん、と夏樹は手を打った。
「いいこと思いついちった。やっぱシチュエーションってのは大事だよねぇ」
そうと決まれば善は急げである。京極は訝しげに眉を寄せたが、当然のごとく知らんふりをした。
自宅に戻ると、隆之が帰宅する頃合いを見計らって準備に取り掛かった。
「ただいま」と玄関から声が聞こえてきたところで作戦決行である。すぐさま夏樹はリビングから飛び出し、玄関へと駆けつけた。
「おっかえりなさーい!」
「………………」
夏樹は笑顔で出迎えたのだが、隆之は目を丸くさせて立ち尽くしている。
それもそのはずだろう。何しろ今の夏樹の格好ときたら、エプロン一枚しか身につけていないのだから。メンズ向けのシンプルなデザインとはいえ、素肌が覗いている状態で、もちろんのこと下着だって身に着けていない――これぞ《裸エプロン》の醍醐味だ。
隆之が固まっているうちに、夏樹は首に腕を回して抱きつく。
「ご飯にする? お風呂にする? ……それとも、俺? やっぱ俺かなあ?」
耳元で囁いてやれば、隆之の体がぴくりと反応を見せた。
「おい、いきなり何なんだよ」
「ん? 今日は金曜だし、エッチしてもいい日でしょ?」
「いや、だからその格好は……」
「へへ~っ、オーナーに許可とって借りてきたんだあ。今度、『Oasis』で取り扱う新作コスだって!」
得意げに言いつつ、体を擦りつけるようにして密着する。
すると、次第に隆之のものが大きくなっていくのがわかった。当然、夏樹は内心でガッツポーズを決める。
「隆之さんのが当たってる。ねえ、今どんなこと考えてる?」
「自分から誘ってきたくせにわざわざ訊くのか? ……ここまで露骨に煽られたら、決まってるだろ」
「だって、隆之さんの言葉で聞きたいんだもん」
甘えるように言えば、いよいよ隆之は観念したようだった。夏樹の腰を抱き寄せ、躊躇いながらも耳元にそっと唇を添えてくる。
「今、すぐにでも君を抱きたい」
吐息混じりの低い声に、夏樹はぞくりと身を震わせた。
たった一言囁かれただけだというのに、体の奥が甘く疼いて仕方ない。そんなふうにドキドキしているうちにも隆之はネクタイを緩め、色っぽい仕草にますます昂ってしまう。
「夏樹」
ちゅっ、と軽く重ねられる唇。隆之の大きな手が背筋から腰にかけて滑っていく。
「本当に、これ一枚なんだな」
「びっくりした? お尻も触っていーよ?」
誘うように腰を揺らせば、隆之が臀部にそっと触れてきた。
ゆっくり撫でられたかと思えば鷲掴みにされ、いやらしく揉みしだかれる。愛撫の手が止まることはなく、さらには額や首筋にも口づけてきて、そのひとつひとつが夏樹を煽っていく。
(ああ、隆之さんが雄の顔になってる)
高まっていく興奮を抑えきれずに、夏樹は熱い吐息を漏らす。
見上げた隆之の顔はまさしく雄のそれだった。こちらのことを慈しむようでいて、隠しきれない余裕のなさと情欲がちらつくのがたまらない。
「ね、隆之さん。わかる? ここ、ローションでぐっしょぐしょ……ナカも女の子みたいにトロットロにさせて――隆之さんの帰り、待ってたんだよ?」
夏樹は隆之の手を取って、自らの秘部へと導く。指先が触れた瞬間、くちゅりと卑猥な音が響いた。
「っ……」
隆之が息を呑むのがわかる。その反応に気をよくして、夏樹は挑発的な笑みを浮かべた。
「アハッ、ナマでいーから隆之さんのでっかいチンポ……早くちょうだい? 俺のことめちゃくちゃにしてよ」
甘えるような声音で告げ、体を離すなり壁に手をついてみせる。
少しの間のあと、隆之が深く息をつく気配を感じた。続けて聞こえてきたのは、カチャカチャというベルトを外す音、ジィーッとファスナーを下ろす音。
隆之は夏樹の腰を掴むと、ぐっと引き寄せた。
それからすぐに熱いものが押し当てられる。その感触だけで達してしまいそうなほど興奮している夏樹がいた。
「あぁっ……隆之さ、ん」
「……夏樹」
熱っぽい呼びかけとともに隆之のものがゆっくりと押し入ってくる。待ち望んでいた質量に全身が歓喜し、夏樹は思わず甘い吐息を漏らした。
「はぁ……っ、ん、もっと、奥まで……っ」
「ああ、わかってる」
隆之は夏樹の腰を掴み直すと、ぐっと体重をかける。最奥まで貫かれた瞬間、夏樹はたまらず背中をしならせた。
「んあっ、すご……デカいの、きて、るぅっ」
「っ、締めつけるな」
「だって、隆之さんのチンポ気持ちいい……っ、奥に当たるのよすぎるんだもん……」
腰を揺らしながら言えば、隆之のものがさらに質量を増して体内を押し広げる。夏樹はうっとりとしつつ背後に目をやった。
「ハハ、なんかやばいよね。帰ってきて早々、玄関でこんなふうにエッチしちゃうの……AVみたいで興奮すんね?」
「それを言うなら、新婚じゃないのか?」
こちらの思惑に反し、隆之はそう口にして手を重ねてくる。
二人の薬指には、先日お揃いで購入したばかりの指輪が輝いていた。
隆之は夏樹との関係を隠そうとしない。指輪にしたって、平然といつも身につけてくれている――夏樹からしたら、それが嬉しくて嬉しくて仕方がない。
(隆之さんってばズリぃよ。……俺なんか下心丸出しで、単純に隆之さんのことムラムラさせようとか思ってたのに)
心の中でぼやきつつも指輪を見つめれば、幸福感で胸がいっぱいになるのを感じた。けれども、と夏樹はいつものようにクスッと笑う。
「フツー、新婚さんが裸エプロンでエッチすると思う?」
「何言ってるんだ。相手が君だからに決まってるだろ」
「もーそういうとこだよ?」
甘ったるい空気に苦笑するしかないが、これもまた幸せだ。
そのままゆっくりと抽挿が始まり、夏樹の思考回路は蕩けていったのだった。
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