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「お前、俺がゲイだからってナメんなよ?」
今まで聞いたこともないくらいの低い声に衝撃を受ける。
「そんなつもりじゃ!!」
「じゃあ、美玖 ちゃんは?」
ちょっと気圧されて中腰のまま固まると、先輩は大きな目を細める。
美玖は俺が中学に入る頃から付き合っていた彼女だ。
保育園の頃から一緒で、親同士よく一緒に居たのもあって、俺が告って大学の一年まで……つい三ヶ月前までは確かに付き合っていた。
「ちょっと前に別れました」
「はぁ?何で?」
睨まれることに耐えられなくなってゆっくり腰を下ろす。
「お前は美玖ちゃんと結婚すると思ってたんだけど?」
「そんなの……別れることだってありますよ」
あまりにも見られるのに耐えられなくなって、身を縮めながら目を逸らしてしまった。
「だから、何で?」
それなのに今度は先輩が立ち上がって両手で俺の頬を挟んでくる。
逃げられず合わされる目。
「そりゃ……先輩が好きだからですよっ!」
ヤケになってこっちも真剣に返すと、先輩は深いため息を吐いて俺の頬から手を離した。
「……あのなぁ?」
雑に座ってガシガシと髪を掻く。
「お前の親が男同士で幸せそうなのも知ってる!でも、俺はノンケの茶番に付き合う気はねぇんだよ」
吐き捨てるように言って焼き鳥の串に齧り付く先輩を見て、俺はテーブルを叩いて立ち上がった。
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