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「……人の話聞けよ」 「それは先輩もでしょう?」  睨んでくるのにも慣れてきて笑顔を返す。  いつも家で(じょう)くんに言われている「拓翔(たくと)、余裕!笑いな!」を思い出したからだ。  俺の父さんには彼氏が居る。  俺は父さんと父さんより十五歳年下のイケメン美容師、城くんとずっと男三人で暮らしてきた。  それこそ、保育園に入る頃から城くんはうちに居たし、城くんが居ないだけで何かが足りないような……ほとんど記憶にはない母さんより身近に感じるくらい。  うちに城くんが居るのは当たり前だったし、父さんと城くんが一緒に笑っているのを見るのが好きだ。  まぁ、さすがにベッドが軋む音とか父さんの声が漏れてくると、俺は一階に降りてそっとしておいたけど。  父さんたちがそうだからゲイに偏見はない。  それは確かにそうだ。  でも、それと先輩のことは違う。  先輩が好き、ただそのシンプルな感情だ。 「……お前さ、美玖ちゃんとのセックス気持ちよかっただろ?」 「はぁ!?」  枝豆を口に入れながら何でもないトーンで言われて、さすがに声がすっ飛ぶ。 「先輩?何言って……」 「お前、俺とセックスできんの?」  テーブルに肘をついてそこに頭を預けながら軽く上目遣いをされてドキッとした。  かわいいその仕草に迷いなんてない。だが、 「何度か風呂も一緒に入ってるから知ってるだろ?俺には胸はねぇし、タクと同じモンがついてるんだぞ?」  先輩は俺を受け入れてくれる気がないのだろうか?

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