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 ポケットに入れていたスマホが振動して先輩の買い物が終わったというメッセージが届いた。 「邪魔して頂かなくて大丈夫です」  立ち上がって伝票に手を伸ばすと、先生はサッと先に取る。 「悪ぃな。こうやって掠め盗るの好きなんだわ」 「ウッゼ」 「ははっ!いい表情(かお)すんじゃねぇか」  ケラケラ笑われて、俺はさっさと店を後にした。  店を出てすぐに先輩に電話をする。 『ん?もうすぐそっち着くぞ?』 「いいです。すぐ帰りましょう?」  辺りを見回すとエスカレーターで降りてくる先輩を見つけて、俺はそっちに早歩きで向かった。  降りた先輩の腕をすぐに掴んで駅へと向かう。 「はぁ?ちょっ、何!?春樹先……」 「いいから!」  今、あいつの名前なんて聞きたくない。 「待てって!それに飯は!?」  止まろうとする先輩を無理矢理引っ張った。 「いいから!早く……」  グッと唇を噛み締めると、先輩は歩きながらはぁ、とため息を吐く。 「訳わかんねぇんだけど?」 「すんません」 「ま、買うもんは買えたし……うちでのんびりするか?」  頷きながら歩を緩めると、先輩は横に並んでふわりと笑った。  その笑顔を見ただけでさっきまでの怒りや焦りは収まっていく気がする。  先輩の腕をそのまま引き寄せて抱き締めると、 「だから、外だっつの」  言いながらも先輩はこてんと頭もくっつけてきた。 「好きです」 「もーわかったから」  な?と笑いながら先輩が離れていく。  先輩にも“好き”と言って欲しい。  横に並んで歩きながら手を伸ばすと、先輩は手を絡めて少し恥ずかしそうに笑った。

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