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「先輩ってあの元彼、本気で好きでした?」
キュッとシャワーを止めると、先輩は思いっきり眉を寄せてこっちを睨んできた。
「お前、このタイミングであいつを話題にするか?」
呆れたようにため息を吐かれてその肩を抱き寄せる。
「バイト先の先輩、藤間 さんは彼女居るのを知って、告らずにそっと諦めて」
「おい」
「短大での同期、統吾 くんは一目惚れしたのに女と合コンばっか行ってヤりまくってるのに本命彼女も居るの知って諦める」
先輩が止めてくるのは無視して話すと、先輩はため息を吐いた。
「お前なぁ……」
俺から体を離そうとするのを、もう一度腕を引いてギュッと抱き締める。
「あの元彼、初めての彼氏でしょう?それまでは好きになっても告ってないですもんね?」
腕の中の先輩はピクッと反応してただこっちを見上げた。
「初めて付き合ったから別れないように耐えてただけじゃないですか?」
フルフルと首を振る先輩。
「確かに先輩はノンケばっか……しかも、ちょっとクズを好きになる……で、いつも諦めてきましたよね?」
「そんなこと……」
「ないって言えないでしょう?」
チュッとキスをして離れると先輩は唇を突き出す。
「あんなに引き摺ったの……あいつが好きだったってより、初めてだったから……別れないように何でも我慢して……なのに、アッサリ訪れた別れに耐えられなかっただけじゃないですか?」
その突き出ている唇に触れてフッと笑うと、先輩は俺に抱きついてきた。
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