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115.

店長に先ほどの状況を話し、人並み程度に慰められたオメガだと言われた女子と共に、裏の仕事をするよう指示をされ、実行している時だった。 「小野河君って、前に雅ちゃんといたよね?」 俊我が皿洗いをし、洗った皿を受け取り、拭いていた女子がふとそのようなことを言ってきたことで顔を上げた。 「いたが、お前と会ったことがあったか?」 「あの時一回だけだったし、だいぶ前だから覚えてないよね。⋯⋯桃瀬花梨って言います。雅ちゃんとは⋯⋯友達になるんだけど⋯⋯」 何故か言い淀む。しかも、頬を赤らめて。 これは単なる友人関係ではないなと思ったが、訊いても意味がないと判断し、「そうか」と返した。 その時、何となく思い出したが、愛賀がまだあの店にいた頃、愛賀に何をあげればいいのかと雅に訊いていた時、やってきたあの女子だったような気がする。 「その華園院の友達が俺に何か?」 「大したことじゃないんだけど、雅ちゃんと一緒にいるのを何度か見かけたから、どういう関係なのかなって」 瞬間、空気がピリッとした。 控えめに表情を作って、人の顔色を伺うような口調で尋ねてくるようだったが、その静電気でも起こったような一瞬の痛みに似た視線は、桃瀬が要因だった。 目の奥が笑ってない。 それに気づいた時、あることを察した。 「⋯⋯ただ家同士で繋がりがある程度だ。大した関係でもない」 「本当に?」 「本当だ」 「そう、なら良かった。⋯⋯そうじゃなきゃ、雅ちゃんとも言い聞かせなきゃいけないところだった」 控えめに笑いながらも、ぼそりと意味深に呟くのが端々に聞こえてきた。 意味は分からなかったが、これ以上訊いてはならないと思い、代わりにあることを訊いた。

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