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其の弐・大和の国より異形なものあらはる。(4)
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そういうことで牛車に揺られ、やって来たのは法隆寺。時の人、聖徳太子が建てたといわれているこの寺は、かの玄奘 法師が唐天竺 より、観世音菩薩 から尊い教えをいただき戻ってきた折、書き上げた教典が数多く存在している。
そしてこの法隆寺は恐ろしく広い。南大門を入ったところにある、西院伽藍(さいいんがらん)は五重塔や入母屋造の二重仏堂の金塔があり、それらを凸(とつ)字形で囲っている。東に鐘楼。西に経蔵(きょうぞう)が位置していた。また、南大門と主要建物との間にある中門は入母屋造の二重門で、四間の正面柱間の真中には柱が立っている。
蒼は中門までやって来ると、牛車から降りた。二重門の手前で待っていたのは、黒の袈裟を身にまとったひとりの僧侶だ。
彼は蒼にお辞儀をすると、そのまま中へと案内する。二階建ての経蔵だ。
赤みを帯びた黄色の袈裟を身に着けた僧侶がいた。その僧侶こそ、おそらくはこの法隆寺を任された師であろう。
彼は蒼と猫又の心を見据えた後、座敷に座るよう促した。供の僧侶を下がらせた後、口を開いた。
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