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其の弐・大和の国より異形なものあらはる。(3)

「心、今から出かけるが、付いてくるか?」  心は、にゃあとひと鳴きすると、蒼の膝から下りた。すると、たちまち人の姿へと変化する。年の頃なら十五。年頃の男の子よりも大きな目に、顔の真ん中に乗っている小さな鼻。赤い唇はなんとも可愛らしい。  心は蒼と同じように腰まである長い髪をひとつに束ね、青の狩衣をまとっている少年になった。  しかし、やはりともいうべきか。人間に上手く化けることができておらず、頭には三角形のふたつの耳が生えている。 「どこに行くの?」  心が興味津々といった様子で(たず)ねれば、蒼はうっすらと笑みを浮かべた。 「少し頼まれごとをしていてね、牛車で少々遠出をするんだ」 「行くっ!!」  蒼が行くところなら、どこへでも。心は嬉しそうに大きく頷いた。

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