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陰陽之書 其の参・鬼、西瓜を食す。(2) | 蓮冶の小説 - BL小説・漫画投稿サイトfujossy[フジョッシー]
目次
陰陽之書
其の参・鬼、西瓜を食す。(2)
作者:
蓮冶
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其の参・鬼、西瓜を食す。(2)
伊助
(
いすけ
)
は何度も後ろを振り返り、追っ手の姿がないことを確認しながら進んでいた。 だが、それは走るという行為にはほど遠い。 なにせ、進めば進むごとに膝は笑い、全身から力が抜け落ちていく。 地面を這い、歩くような足取りだった。 後ろを振り向けば、今はまだ何も見えない。 ほっとひと安心すると、ふたたび足を引きずり、夜道を進む。 周囲には静寂が広がっている。 ひぃひぃと上がる息でさえも、おぞましく感じる。 ここで足を止めたい。 しかし、ひとたび立ち止まってしまえば、自分の命は『あれ』に喰われてしまう。 伊助は震える身体に鞭を打ち、ただひたすらに身体を引きずり、進んでいた。 どのくらい進んだ頃だろうか。 牛車が見えた。 それは夜道なのに薄ぼんやりと輝いているようにも見える。 今の刻限は丑三つ。普通なら、恐怖を覚えるこの光景でも、今は追ってくる『あれ』の存在以上に怖いものはなかった。
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蓮冶
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