5 / 5
5
目を覚ますとなぜか抱きしめられていた。北口さん、と呼びかけると眠そうにまぶたを開ける。
「ん、おはよ……」
おはようございます、と肌をすり寄せる。
「帰ってなかったんですね」
まあな、と北口は後ろに手を伸ばした。
「っ、ちょっと……」
感触を確かめるように尻を揉みしだかれて、俺は身を捩らせた。
「お前は本当に触り心地がいいな」
「……んっ、やだ、あ……ッ」
北口は割れ目をなぞった。孔がヒクヒクと蠢くのが分かる。
「しかも感度もいいんだもんな」
「やっ、もうやめ……」
「なんだ、欲しがってんのか?」
触るからでしょう、と反論しようとしたところで指が入ってきた。いいところを擦られて高い声が出る。
「あッ、ん……っ」
「朝だから指だけな?」
北口は二本目を挿入した。内壁を擦られて腰が動く。
「やっ、もっと……」
夜まで我慢、と指を引き抜かれる。さも楽しそうに笑う姿が憎らしい。
「今日大学行くだろ?」
うなずいて身を起こす。熱はまだ燻っていた。
講義終わり、大学の食堂で待ち合わせる。構内に人の姿はあまりなかった。
「よお」
朝以来だな、と北口は向かい側に座った。
「お前が服着てるの変な感じ」
「何言ってるんですか……」
指を絡められる。すり、と撫でられて俺は身を震わせた。
「ちょっと、誰かに見られたら……」
「誰もいねえよ」
物足りないんだろ、と力を入れられる。どうやっても振りほどけそうになかった。
「じゃあ部室行くか」
「今日は開いてないんじゃ……」
「おれ鍵開けんの得意なんだよ」
そう言って北口は手を離した。ついてこいと言わんばかりに歩き出す。俺はあとを追うしかなかった。
「あんまり声出すなよ?」
北口は俺を部室の壁に押し付けた。後ろ手に鍵をかける。
「ふ……、んぅ……」
見つめ合いながら舌を絡める。北口は目を細めていた。熱くて柔らかい舌を貪る。
時々外から足音が聞こえてくる。そのたびに身体をびくつかせる俺を、北口は楽しそうに眺めていた。
「やっぱりこんなところで駄目ですって……んっ」
「大丈夫だよ」と北口は膝を股間にぐりぐりと当てた。
「でもお前の声が聞けないのは残念だな」
北口は下半身を刺激し続ける。俺はだんだん喘ぎが抑えられなくなっていた。
「ん……っ、んぅう……ッ、ふぁ、んッ」
北口のものが固くなっているのが分かった。後ろ向け、と言われて壁に手をつく。早く欲しくてたまらない。
ジーンズと下着を脱がされる。後ろに固いそれが当たった瞬間、ドアノブががちゃがちゃと回った。
「誰かいるのか?」
息を詰めて動きを止める。ややあって北口が応えた。
「……部長か?」
「北口か。何やってんだよ」
「あのー、忘れ物取りに来たんだよ。中々見つからなくて」
言いながら北口は俺の腰をつかんだ。熱いそれが中に入ってくる。何を考えてるんだ、と思うが快楽には勝てない。
「俺も用事があるからさ。早くしろよ」
「なるべくそうする」と北口はピストンを速めた。間違っても声が出せない、という状況に余計感じてしまう。
「てか北口、ここどうやって入ったんだよ」
「開いてたから」
北口は息をするように嘘をついた。部長の問いかけに次々答えていく。腰の動きは緩めずに。
「鍵かけてるのは何で」
「忘れ物探すのに邪魔されたくなかったんだよ」
あっそう、と言いながらも部長はドアの前から動かない。
「……もう無理ですって、北口さん……!」
小声で呼びかけるが北口はピストンを止めない。根本を握られ、俺はイくこともできなかった。
「おい、まだか?」
「ああ、今出る」
動きが激しくなる。奥に熱いものが注ぎ込まれて、俺は身体に力が入らなくなった。
「……っあ、ん……ッ」
ものが引き抜かれる。服整えろ、と囁かれて俺は身を起こした。何とかジーンズを履いて立ち上がる。北口はこちらの様子を確認してからドアを開けた。
「悪い、待たせた」
「ああ……。なんだ、芦屋もいたのか?」
「あ、はい……」
驚いたような表情の部長から目をそらす。
「じゃ、また顔出すから」
北口が歩き出す。あとをついていく俺を、部長は怪訝そうに見送っていた。
ともだちにシェアしよう!