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第1話 偵察

雑木林を駆け抜ける。 開けた大地には大きな国があった。 俺はカバンから女性用の服を取り出しそれに着替え城下町まで降りた。 街は穏やかで住民も毎日の仕事をこなしていた。 そんな中を俺は女装姿で歩いた。 ターゲットはこの国の王、スチュアート第2世 哀れなことに依頼主はこの国の王族だ。 衛兵もうろうろしている街は逆に情報収集としてやりやすい。 色仕掛けで落とす。 「あっごめんなさい」 衛兵とわざとぶつかり相手の様子を見る。 「すまない」 「先輩、だべってるから女性とぶつかっちゃうんですよ」となんとも気軽な話をしていた。 「うるさいな」 「素敵なお方、お怪我はありませんか?」 と手を差し伸べてくれたが 「…………いててぇ足が………」 足には先に小細工をしていた、わざと赤く腫れるように 「大変なことしちゃいましたね」 「病院に連れて行くから帰りが遅くなるってこと報告あげてもらってもいいか?」 「いいですけど、先輩そのままお持ち帰りしないでくださいね」 なんとも衛兵なのかってくらいアホなやりとりをしているな。 後輩らしい衛兵は先に城のほうに歩いて行った。 このまま病院に連行されても困るので衛兵に向かって。 「あの、私お金がなくて病院だとその……生活ができなくなってしまってどこか休める場所ってありますか?」 衛兵のほとんどが寮だ、しかしこの緑のバッジをつけているものは城に近い城下町に家がある。 「あ、ああそうか、なら俺の家に来るといいよ、治療の道具は揃ってるし」 ふん、チョロ。 家の中であれば気絶したところで問題はない。 家にあがり足を見せた、治療をする瞬間、足を首に絡ませ体勢を逆にした。 「うおぉ!!?」 男の上に乗っかりナイフを床に突き刺した。 「………お前まさか」 「静かにしろっ、一度しか言わない、城門が開く時間を教えろ、衛兵の動く位置も」 「……情報を教える気はない」 「ほぉなら死ね」 ナイフを少し動かし首元にあたると男は焦ったのか口を開いた。 「わわわっ話す」 「静かに喋れ」 「……城門の開く時間は朝7時と夜7時だ。さすがに衛兵が出入りしているところを教えられないが」 「衛兵が出入りするところがあるのか?」 「あ、やばい……うっ……そこは衛兵もたくさんいるし一般人が入れる場所じゃない」 「それを決めるのは俺だ」 首元にさらに近づけると 「分かった、俺がお前の情報源になるから頼む殺さないでくれ」 「なぜそこまでして生きたい?」 「妻がいてもうすぐ子どもも産まれるんだ、頼むから殺さないでくれ」 「私情は持ち込まないが情報源になるのは話が別だ、俺が言ったことこのノートに全て記載しろ」 「わ、分かった」

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