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第24話 お願いなんでも一つだけ
「ってな感じだ」
馬渕先輩と熊田先輩から二人のこれまでの話を聞いた。彗ちゃんの言った通り本当にキスは一回もしていなかったらしく、そんなに大切にとっておいてくれたものをオレにくれたことがはちゃめちゃに嬉しい
「なるほど。馬渕先輩が手綱握ってるなら害はなさそうなので安心すね!」
「犬塚まで害獣扱いするなよ…」
熊田先輩がショックで机に項垂れているが、オレの彗ちゃんから色んな初体験を奪ってくれたからにはこれくらいの可愛い仕返しは甘んじて受け入れてもらおう。
「虎狛、先輩だけが悪いわけじゃないからあんまり…」
「それもそうだね。彗ちゃんも悪い子してたってことだし何かしてもらおうかなー。
例えば、エッチなお願いとか??」
熊田先輩を仕返しという名目でいじっていたら彗ちゃんが止めに入ったのですこし意地悪言ってみた
まぁ何言ってんだって怒られるのは目に見えてるけど
「……わかった。一個だけなら」
「そうだよね。まぁダメだよね……え????」
耳が遠くなったのだろうが今想定外の返事がかえってきた気がするのだけれど
「だから!一個だけいうこと聞いてやるって言ってんだ」
「ほ、ほんと??」
「…本当」
珍しい!!これはデレというやつだろうか!口元のニヤニヤが止まらない
「むふふ、一個かぁ大事に使わないとなぁ。何にしようかなぁ」
「あっはは!やっぱお前ら仲良いよな」
やりとりを見ていた馬渕先輩が微笑ましそうにこちらをみている
熊田先輩はいまだに項垂れているが
そういえば、さっきの話で馬渕先輩が言ってた彗ちゃんとはできないことがどうとかってなんなんだろう
「あの、熊田先輩」
「お、おう。なんだ?」
声をかけたらようやく体を起こした
いつものしっかりした大人って感じの先輩はどこへやら、顔がなんとなく情けない
でも、こっちの方がなんとなく親近感湧くけれど
「さっき話してた馬渕先輩とはできて彗ちゃんとはできないことってなんですか?」
「……へ?あ、あぁ!!いや!べべつにそんな大したことじゃないぞ?うん。本当に聞いてと仕方ないこと「一日ベッドに縛りつけられて抱き潰された」なっ?!おい!香澄!!」
「……魔獣」
「ちが!!ちがうぞ?ちゃんと同意を得た上でだからな?!」
「一日イチャイチャしたいってのには同意はしたが、ベッドに手錠で繋げられて飯も風呂もなくずっととは聞いてなかった」
冗談で言っていたのかと思ってたけどマジで性欲モンスターだったらしい
ていうか、それに付き合えた馬渕先輩も結構すごいのでは…
若干引いた目で先輩方をみていたら隣で同じように彗ちゃんも言葉を失っていた
そりゃそうだろう。もしかしたら自分が馬渕先輩の立場になっていたかもしれないのだ。
「…熊田先輩」
「猫田までそんな目で見ないでくれ…」
彗ちゃんのなかの先輩像が崩れていく音が聞こえたような気がする
引き気味の彗ちゃんと弁明する熊田先輩の二人からもしかしてあの時の手錠とかってなど不穏なワードが聞こえる
しかし、流石に拘束して…するとかは…いや、あり、なのか??
ベッドに縛られてオレの下でどろどろになっている彗ちゃんを想像して、悪くないな、なんて思ってしまった
ダメダメ!そういうのはよくない!エッチだけど、すごくエッチだけど!!!
「うーん…」
「どした?なーに唸ってんだ?」
「馬渕先輩…オレ、結構変態かもしれないっす」
「ぶふっははは!突然何言ってんだよ。男なんてそんなもんだって、特に好きなやつ相手だとさ」
一瞬目を丸くした馬渕先輩が吹き出した
「そういうもんなんすかね。」
「うむ、そういうもんだ。だから、ちょっとくらいエロいお願いしてもきっと猫田もいいってくれるさ。な?猫田?」
まだ隣で熊田先輩からの弁解を聞いていた彗ちゃんに話を振るとこちらを見てから視線を逸らされた。ほんの少し頬が赤い気がする
「まぁ、できる範囲であれば、ですけど」
「ほらな?」
「…じゃ、じゃあ!次の休み一日オレとデートしてください!!あ、デートコースはオレに任せてもらってもいい?」
「え……うん。いい、けど。そんなのでいいのか?」
「犬塚お前…健全すぎ」
「なんというか、俺の立場がどんどん無くなっていく気がする…」
「いいんですー!!まずはデートから進めて行くんで!!!」
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