「と、いうわけで、晴れて付き合うことになった！ほんとありがとな！」 『いやぁほんまによかったわぁ。まぁそんなことやとは思ってたけど、まぁ末永くお幸せに〜。 これでわいもデートの邪魔されんですむし、万々歳や』 お互いの気持ちを確かめたあと、俺は橋間に電話で事の顛末を報告した。まるで最初からこうなることを知っていたかのような反応をされたが。 一方の勇は猫田に電話をしていた。というか、させた。二人の勘違いに巻き込んでしまったこと、ちゃんと想いが伝わったこと、謝罪と感謝を伝えていた。勇の気持ちを知っていた猫田はそれはそれは祝福してくれたみたいだ。優しい声で話しかけている勇を見るとなんだかんだ猫田のことも大切に思っていたんだなと感じた。もうこいつは俺の恋人なんだけどな！と少しムッとしてしまう。勇の気持ちをわかってはいるがやはり何度か身体を重ねていると思うと少なからず嫉妬してしまう。電話をしている勇を見ていたら急にこっちに向き直ってスマホを渡してきた 「猫田が香澄とも話したいって」 「え？ああ、おう」 スマホを受け取り深呼吸してから耳元にあてる 『馬渕先輩ですか？』 「おう。どうした？話があるって」 『あの…本当に申し訳ありませんでした！！』 「……へ？」 『俺、熊田先輩の気持ちを知っていながら、その…』 「猫田」 『はっはい』 「お前は悪くないよ。こっちこそ悪かった。巻き込んじまったみたいで」 『いや、そんなことは…』 実際巻き込んだのだから、猫田には罪悪感など感じてほしくない。これまで通りサークルの仲間としていてほしい。 「だからさ、全部こっちのバカのせいにして、これからも変わらずいてくれないか？サークルのメンバーと気まずくなるのは嫌だしな！」 「馬鹿……」 『…いいんですか？』 「ああ！もちろんだ」 『ありがとうございます』 「いいってことよ！この野獣も猫田にちょっかいかけないように俺が首輪つけとくからさ！安心してサークル参加してくれよな」 「野獣……」 『ふふっわかりました。今後ともよろしくお願いします。あ、そうだ。熊田先輩に改めておめでとうございますって伝えといてください。』 「おう、伝えとくよ。じゃ、またな」 通話を切ると勇が胸を押さえてうずくまっていた。 「なにしてんだ」 「なんでも、ない、です…」 「そうだ。猫田がおめでとうって言ってくれてたぞ。ほんといい後輩だな。こんなことに巻き込まれたのに」 「……そうだな」 「猫田も幸せになってほしいよ、俺は。 もし何かあったら迷惑かけた分ちゃんと手助けしないとな」 「そうだな。できる限り力になりたいな」 その後、猫田と犬塚が再会し、居酒屋でのキス未遂騒動や二人きりで帰らせたりの采配があったのはここからきていたりする