あら、お客さん、オカマバー初めてなの？ごめんなさいね。初めてがこんなゴリラで。 可愛い子もいるんだけど、今は空いてないの。もう少ししたら呼んであげるから、ゴリラで我慢してね。 あ、だからって、ゴリラって呼ばないでよ。アタシ、マーガレットって言うの。よろしくね。 あら、ご丁寧にお名刺、ありがとうございます。緒方さん、弁護士さんなのね。緒方さん、緒方先生、どちらで呼びましょうか？ 緒方さんね。 え？アタシで？代わらなくていいの？ 緒方さん、あなた、変わってるわね。興味本意でも、可愛い子の方がいいと思うのだけど。 何でって。 だって、あなた、ノンケでしょ。 ゴリラみたいなオカマより、女みたいなオカマの方が―――。 え？当然でしょう。分かるわよ～。 たまに緒方さんみたいにノンケの方もいらっしゃるの。ノンケとはね、オカマを見る目が全然違うのよ。 うふふ、信じられないかもしれないけれど、ここに来る9割のお客さんはね、オカマを見て犯してやりたいって顔するのよ。 あはは、この程度で引かないの。 まあ、そうは言っても、アタシなんかは対象外だから安心―――、いえ、安心してって言うのも何だか変よね。ただ、ほら。ノンケの方に、アタシの外見はちょっとキツいでしょ。 だから、性的な事とは無縁な妖精とでも思ってくれていいわ。その方が気楽でしょ？ そう、ゴリラの妖精。 失礼ね。